気象病と季節病の違いって?

 正式病名ではないものの、気象の変化とともに体調の変化を訴える患者が増えているのは事実。久手堅先生の気象病・天気病外来も、台風などが近づくと来院が目に見えて増えると語る。

 ただ、気象病と同じように気候で症状が出る「季節病」と呼ばれるものがあるが、両者はまったく異なることは覚えておきたい。

季節病は、季節によって起こるものが決まっています。春秋だったら花粉症などのアレルギー、冬だったらヒートショック、夏ならば熱中症などですね。ところが気象病は気象の変化によって起こりますから、季節にかかわらず起こります。そこがだいぶ違っています」(久手堅先生)

 また症状を訴える人の7~8割が女性と、女性に多い理由については、ホルモンの影響が強いという。

女性には生理周期があり、生理前と後では女性ホルモンの変動が大きいですよね。ホルモンの変動による不調は気圧による不調ともリンクして、症状をさらに強くします。これが、特にホルモンバランスが乱れやすい更年期の女性に気象病が起こりやすい理由です。さらに女性に多い貧血が原因で、頭痛やめまい、首・肩こり、全身の倦怠感などといったさまざまな不調を引き起こすことがあります」(久手堅先生)

 ではこうした症状に心当たりがあったり、「気象病チェックリスト」で当てはまる項目が多くて悩んでいる場合、どの診療科に行き、どうしたらいいのか?

 #2(【気象病#2】頭痛やめまいに悩み、「気象病かも」と思ったらどうすればいい? 予防・改善法を医師が伝授 11月30日12:00配信)では、こうした治療法や予防法について、久手堅先生に詳しく聞いていこう──。

(取材・文/千羽ひとみ)

久手堅司=著『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社刊)※記事中の画像をクリックするとAmazonの紹介ページにジャンプします

〈PROFILE〉
久手堅司先生
せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。気圧予報・体調管理アプリ「頭痛ーる」監修医師。「自律神経失調症外来」などの特殊外来を立ち上げ、「気象病・天気病外来」などの特殊外来では、これまで5000名以上を診察。著書に『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)、『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング)、『毎日がラクになる!自律神経が整う本』(宝島社)など。