推し活をしていたら動き出した人生
心の安定を図るべく、男性アイドルのほかに、アニメ、女性アイドルと、好きの裾野はどんどん広がっていきます。
「アニメも好きで、最近だと『うたの☆プリンスさまっ♪』っていうアニメにハマっています。2次元と3次元のアイドルが両方楽しめる素晴らしい作品なのでおすすめです。
そもそも子どものころから『美少女戦士セーラームーン』と『ドラゴンボール』が好きなのですが、一時期“高校生なのに(まだ見てる)”ってアニメオタクに対して偏見を向けられていたことがあったので、それ以来こっそり見ていたんです。
そこから一度離れて、再び爆発的にアニメオタクになったのは27歳のとき。ちょうど仕事を辞めて何もしていない時期に、友達から『薄桜鬼DS』っていう新選組の乙女ゲームを紹介されたのがきっかけです。アニメ化もされていて“面白いから見て!”ってすすめられて、ハマっちゃいました」
──ここでも友達のおすすめ作品に飛び込んだのですね。それが人生を変えるきっかけに?
「歴史を調べていくうちに沖田総司を好きになって、さらに調べたら死の直前に行った場所が東京にあるとわかり、浅草の今戸神社に行ったんです。
そしたらHey! Say! JUMPさんと島田秀平さんのロケに偶然出くわして。その帰りに浅草で手相を見てもらったら人気者になるって言われて。人気者イコール芸人だろうとNSC(吉本総合芸能学院)入りを決意しました。だから『薄桜鬼』を好きになってなかったら、私どうなってたか(笑)」
──田辺さんは推し活と人生が連動していますね。
「推し活してたら人生が変わった。だからこれもね興味……人に言われてそのまま無視してたら、人生どうなってたかわからないです。今戸神社も行かなかったでしょうし。だから人に言われたものを“いったん”はやったほうが、やっぱりいいんだろうなって思います」
──田辺さんの“いったんやったほうがいい”にはこのうえない説得力があります。他にはどんな作品にハマりましたか?
「友達から“ちょっといい男を紹介したい”って言われて、映画館に連れて行かれたんです。そこで劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』を見て、安室透さんに出会うんです。“なにこの人!超カッコいいんだけど!”って(笑)。
『ゼロの執行人』で、コナンくんが“安室さんって恋人いるの?”って質問したら、安室さんは“僕の恋人はこの国さ”って言うんです。その言葉で、私は安室さんの愛する日本にいてよかったって。今までは清掃のバイトで、ゴミくずを拾おうとしたときに、前かがみになると苦しいから、奥のほうに“えい!”って隠して掃除してたんです(笑)。
だけど安室さんの言葉を聞いてからは、安室さんが愛するこの国を私はキレイにしたいと思うようになって。そこからバイトも楽しくなりました。それから安室さんが黒の組織に潜入したときのコードネームがバーボンで、お酒にもちょっとずつ興味が出てきました」
数珠つなぎのようにしてさまざまなことに興味を持つ田辺さん。好きなものを発見しただけではなく、探求して行動する。一歩踏み出して世界を広げていく田辺さんの行動力には目を見張るものがあります。何ごとも自分の好き・嫌いだけでは世界は広がっていかないのだと気づかされます。
「次の年のコナンは『紺青の拳』っていう映画で、その舞台がシンガポールだったんです。一緒にハマっていた友達と“シンガポールに行こう”って、そこからは早かったですね。ふたりで一生懸命お金を貯めて、シンガポールに行ってきました。思い立って“どうしよう、どうしよう”じゃなくて、いったん思ったらやらないと人生後悔しちゃいそうで」
──さらにアニメについてお聞きしたいのですが、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』もお好きなんだそうですね。
「はい、それもコナンを教えてくれた子が教えてくれたんです。聴いてみたらもうびっくり! 曲もいいですし、何より声優さんのラップのクオリティがすごい。ストーリー性もあるし、今までにない感じの曲調できっとジャニーズが好きな人にも刺さると思います」
──ここでの推しは?
「私の推しはイケブクロ・ディビジョンです。だから実際に池袋に行くと、彼がいそうだなって身近に感じています。私は普段、絶対に階段を上らないんですけど、池袋のアニメイトの階段だけはめっちゃ軽快に上れるんです(笑)」
※2:登場するメインディビジョン(ユニット)の『Buster Bros!!!(バスター ブロス)』たちが生活する区画の名称。他にも、横浜・新宿・渋谷などの、地名にちなんだディビジョンが存在する。