『アマラントス』宮崎慎太郎シェフのスペシャリテ

◎お野菜のひと皿 

色とりどりの野菜が並び、とてもきれい! 撮影/齋藤周造

 その日の朝に到着する20種類ほどの旬の野菜それぞれに、素材の持ち味を引き出す調理をほどこした前菜。“一つひとつの野菜から、おいしさをどのように引き出していくか考える過程が楽しい”というシェフの生産者への思いと巧みな技術が融合した自信作。かぼちゃはピューレに、金時草はドレッシングで和えて、根菜類はそれぞれベストの温度で蒸すなど、本来の素材のうま味が堪能できる彩り豊かなひと皿。

◎千葉県・花悠(かしゅう)仔豚のロースト

香りもよく、食欲をそそる一品 撮影/齋藤周造

 ハーブを食べて育ったビタミンB1が豊富なボタニカルポーク。いちばん下には豚足の煮こごりを薄く敷き、その上にローストしたものと皮付きのバラ肉を添える。皮付きのまま、うまく仔豚が処理されている中華料理を参考にして、軽くゆがいてから揚げ焼きに。仔豚のさまざまな部位をひと皿に集めて食べ尽くす。しっとりとなめらかな口当たりの肉にカリッとした食感の皮。まろやかな脂の甘みで後味はさっぱり。同じ素材で何度も異なる味わいが楽しめる。

◎メレンゲ

まあるいメレンゲを切ると、中からムースたちがあふれ出す! 撮影/齋藤周造

 丸いムースのようなフォルムの美しいメレンゲ。中に入っているのは、下からガナッシュ、トンカ豆のムース、真ん中にライムの果汁のジュース。同業者からどうやって作るのか質問を受けるほど高度なテクニックを駆使して作り上げた。甘くて厚みのあるフランスのメレンゲは日本では好まれないため、パティシエ時代に覚えた技術を使い薄いメレンゲを開発。メレンゲの概念を変えるほど口あたりが軽く、層になった味わいがひとつになり、口に入れると予想外の味が広がる。

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 連載第4回となる次回は、宮崎シェフのご指名で、六本木『ル・スプートニク』の高橋雄二郎シェフにお話を伺います!

(取材・文/Miki D'Angelo Yamashita)


【PROFILE】
宮崎慎太郎(みやざき・しんたろう) ◎東京誠心調理師専門学校を卒業後、パティシエとして洋菓子店『ラ・バンボッシュ』に3年勤めた後、フレンチに転向。西麻布『ル・ブルギ二オン』、銀座『ヴァンピックル』、麹町 『オーグードゥジュール』で修業を積む。その後渡仏し、パリの名だたるフランス料理店数軒で約2年間、シェフとしてのさらなる経験を積む。帰国後、'07年4月より、丸の内『オーグードゥジュール・ヌーヴェルエール』料理長に就任し、7年連続でミシェランの星を獲得。'14年5月より『ザ・リッツ・カールトン東京』のフレンチダイニング『アジュール フォーティーファイブ』料理長に就任し、『ミシュランガイド東京2016』から6年連続で1つ星を獲得。'21年に独立し、赤坂に『アマラントス』を開く。'23年度版ミシュランでも星を獲得。

『アマラントス』

住所:東京都港区赤坂2-18-5 FUN ART AKASAKA 2F
電話:03-5797-8585
定休日:不定休
URL:https://www.amarantos2021.com/
備考:「お任せコース ディナー 食前酒付き」19800円(税込み、以下同)、「土曜・日曜・祝日ランチ 食前酒付き」14500円、アラカルト2860円〜