お子さまを待ち望まれる中、夫婦の絆を育んだ日々

 「雅子さんのことは僕が一生、全力でお守りしますから」という天皇陛下のプロポーズを受け、1993(平成5)年6月9日にご結婚。ハーバード大学卒で外務省出身というキャリアがクローズアップされ、新しい時代のプリンセスとして国内外の注目が集まる中、雅子さまの皇室での生活が始まりました。

◎「家庭でオーケストラをつくるような……ほどの子どもの数は、おっしゃらないでくださいね」

 1993(平成5)年1月。天皇陛下とのご婚約が内定し、初めて記者会見に臨んだ雅子さま。お子さまは何人ご希望か、という記者からの質問を前もって想定しており、天皇陛下に“あまりたくさんの子どもが欲しいと言わないでください”と、やんわりクギを刺していたそうです。音楽好きでビオラを演奏される陛下のことを気にかけたユーモアが光ります。

1993(平成5)年1月。天皇陛下とのご婚約内定の記者会見では時折、はにかんだような笑顔を見せられた 撮影/JMPA

◎「物事はなるようになるのではないかという感じです」

 おふたりのご結婚直後からお世継ぎ誕生の期待が高まり、メディアの報道も加熱しました。1994(平成6)年2月の記者会見で、雅子さまはそんな風潮について「特にそういうこと(プレッシャー)もございませんけれども、物事はなるようになるのではないかという感じです」。天皇陛下も「あまり周りで波風が立ちますと、コウノトリのご機嫌を損ねるのではないか」と答えられましたが、待望の愛子さま誕生はそれから約8年後のこと。「なるようになる」と、雅子さまは達観しながら重圧に耐えられたのかもしれません。

1994(平成6)年4月、ジャパンオープンテニスを観戦される雅子さま 撮影/週刊女性

◎「“夫婦ゲンカは犬も食わぬ”と申しますけれども、ケンカの種はわりとよく拾って食べてくれるような気がいたします」

 1998(平成10)年、35歳の誕生日記者会見で。夫婦円満の秘訣についての質問に、当時飼っていた愛犬「ピッピ」と「まり」を例に出して答えられました。「仲直りが必要なようなケンカには、あまりなりません。ただ、相手に不快な思いをさせてしまったかしらと思うときには、素直に謝るということが大切なのかもしれない」とも補足して話されています。

2000(平成12)年12月、愛犬の「ピッピ」「まり」と 写真/宮内庁