「電車でGO!」車掌役の収録秘話

『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』への出演と同じころに「国鉄と同じく民営化ですね。いろいろなイベントの仕事が入るようになり、贅沢しなければ食べていくことができました」と脱サラ、ものまねの幅も広げてきたが、1997年にゲーム『電車でGO!』の車掌役の声の仕事を獲得する。これもターニングポイントになった。

「車掌さんの声には本職の方も候補に上がったのですが、現場と違ってスタジオだとあの独特の声の調子が出ないということで、私に白羽の矢が立ちました」

 つまり、なんと本業の鉄道員よりも「それらしい」と思われたことになる。「より臨場感と“鉄道らしさ”を出すために、収録では本物の国鉄制帽や時刻表もスタジオに持ち込んで臨みましたね」という。

 今でもアナウンスのものまねは細部までこだわり、最新の新幹線の自動放送から国鉄時代の放送の再現までお手のもの

「今と比べると昔の肉声放送は一語ずつ区切って話すんです。ゆったりした口調で、しっかり情報を伝えようとします。現代は自動放送とマニュアルが充実していて、その合間にさりげなくアナウンスが入るので、普段みなさんが聴いているあの口調になるんですね」

 と、さっそく即興で調子の違いを再現。筆者は国鉄をリアルタイムでは知らない世代ながら、立川さんの口の使い方ひとつでの演じ分けには「あるある!」とうなずいてしまう。

 なぜ、音のものまねだけで観客は笑うのか。

みなさんが普段何気なく聴いている音なので、自然に頭に入っているんですね。それを黄色いおじさんがオーバーリアクションで演じることで、頭の奥から思い出して反応していただける。ライブを見ている鉄道員の方からも“お客様がこんなに楽しんでいるのは日常でもよく聴かれているということ。身が引き締まります”と言われたことがあるんですよ。プロの方に喜んでいただけるのも励みです」

 観客からの反応を生き生きと語る立川さんからは、ものまねを見せるだけでなく、鉄道を媒介にコミュニケーションを楽しもうという気持ちが伝わってくる。