『恋ほど素敵なショーはない』は本人も太鼓判! 上位でないオススメ曲は?

 さらに、岩崎の名曲アピールは加速していく。第2弾のインタビューでは、昨今のシティポップ・ブームを受けてアルバム『Wardrobe』が人気であることに言及した。岩崎に、そのアルバムのリード・シングルとしては自身が出演していた日清豆乳のCMソング「くちびるからサスペンス」が収録されていたと話を振ると、すぐさまに、

「あのタイアップ曲でいちばん好きなのは、『恋ほど素敵なショーはない』です! “超”がつくほどの名曲! 今、30位なんですね。これこそ、シティポップの名曲として聴いてもらいたいですね〜!」

 と答えが返ってきた。本作は、作詞:売野雅勇、作曲:梅垣達志、編曲:大村雅朗による優美なポップスで、3分40秒ほどの中で何度も転調し、さらにキーもどんどん上がっていくような曲調でありながら、失恋する様子を岩崎が凛とした声で歌いあげている。それを聴いていると、さながらミュージカルのヒロインが、場面転換するたびにどんどん成長していくような姿を見ているかのような気分にさせられる。1983年当時はオリコン最高22位にとどまったが、今でも昭和ポップスのヘビーリスナーの多くが「名作」と挙げることの多い楽曲だ。

岩崎自身も太鼓判を押す「恋ほど素敵なショーはない」のジャケット写真。胸に染み入る歌詞と歌声を、ぜひ味わってみてほしい

 ほかにも、「27位の『I THINK SO』もいい曲! 姉の(岩崎)宏美は、18位の『涼風』と28位の『ごめんねDarling』がお気に入りですね。このあたりの曲は、今でも歌っていますよ」

 と、TOP30内にライブの定番が多数あることを語ってくれた。ちなみに岩崎良美の場合、『タッチ』シリーズやアルバム収録曲があまりに上位となっているため、これらの定番曲が押し出されて20位前後となっている。しかし、この順位でも再生回数自体は3万~5万回と、'80年代前半の楽曲としては取り立てて低いわけではないことを申し添えておく。

 また、40位の「Vacance」は最初、アルバム『Cecile』に収録され、岩崎が気に入ったことでシングル「マルガリータガール」のB面に収録、さらには両A面扱いに変更されるほどの人気曲だった。

「『マルガリータガール』と『Vacance』、どちらも捨てがたい良曲だから、両A面になったんでしょうね。ちなみに『Vacance』は、♪ペリエ 片手に~ という歌詞がNHKで(商品名をそのまま)歌えなくて、♪お水、片手に~ と歌い直しましたよ。テレビ番組では『Vacance』を歌うほうが多かったのは、歌いやすかったからかなあ」

 確かに、明るく弾けるような岩崎の歌声でこの曲を聴いていると、海外でのんびり過ごしていたくなるほど晴れやかな気分になる。

「マルガリータガール」のジャケットは真っ直ぐにこちらを見つめる岩崎の瞳にドキッとする

 61位以下やランク外の曲についても、

大好きな『オシャレにKiss me』(シングル)も、今62位ですが、もっと聴いてもらいたいです。70位の『スロープに恋をして』(アルバム『blizzard』収録、作曲は小室哲哉)もいい曲で好き! 『恋するローレライ』(デビューアルバム『Ring-a-Ding』収録)が圏外なのも、もったいない!

 アルバム『Wardrobe』収録の『コーラス・ワーク』(作詞:康珍化、作曲:林哲司)と、アルバム『月夜にGood Luck』収録の『Prologue』(八神純子 作詞・作曲)は、どちらも私の定番曲なのに、このランキングに入ってないなんてちょっとショックです(苦笑)。それと、'11年にカバーアルバム『色彩の主人公』をリリースしていますが、『スカイレストラン』や『生きがい』など、すてきな収録曲がいっぱいありますよ

 これらも、他曲に海外リスナーやアニソンファンがいることで相対的に順位を落としてしまったのだと考えられるが、連載の文末に付記したプレイリスト『岩崎良美ベスト~Spotify人気TOP70+ヨシリンの推し曲』として、ランク外の岩崎の推し曲7選も追加したので、ぜひチェックしていただければと思う。