岩崎良美、自身の“推し曲”トークで楽曲愛が炸裂！ 新アルバム収録の『ぞうさん』をフランス語に訳してみたら──

新アルバムで「音楽はもっと音を楽しむべき」と学んだ。生の音楽も聴きにきて！

　では、ここからは近年の活動についても語ってもらおう。まず、'23年1月27日には、約2年ぶりとなるアルバム『This is Japan にほんの歌』を発売する。

新アルバムのジャケットは、爽やかな岩崎の笑顔が映える

　こちらは、「ふるさと」「この道」「犬のおまわりさん」「夏の思い出」「大きな古時計」「夕焼け小焼け」「ぞうさん」「みかんの花咲く丘」「浜辺の歌」「赤とんぼ」「竹田の子守唄」と、全11曲にわたって日本の唱歌や童謡が収録されている。どういったきっかけで作ることになったのだろうか。

「普段はシャンソンをフランス語で歌う機会が多いのですが、今回は周りからのすすめもあり、日本の名曲たちを歌ってみることにしました。唱歌だけじゃなく童謡も入れたくて、私からの提案で『犬のおまわりさん』や『ぞうさん』なども入れました。『ぞうさん』は小さいころとても好きだったのですが、いざレコーディングで歌ってみると、“うまく歌おう”と力んじゃっている自分がいて。そうではなく、“音楽はもっと音を楽しむべき”とうことを、改めて学びましたね。実は『ぞうさん』は最初、歌詞をフランス語に訳してみたのですが、やっぱり日本語の歌詞が可愛らしくていいので結局、日本語で歌いました。『犬のおまわりさん』もいろんな動物が出てきて可愛いですしね。

　今回のアルバムは、とてもおしゃれでインテリアのようなアレンジに仕上げてもらったので、例えば日曜日の昼間、お片づけをしたり、お茶をいただいたりするときにリラックスして聴いてもらえたらと思います。“昔の曲”というイメージではないんですよ」

　また、発売の前週となる1月21日には、八ヶ岳高原ロッジ（長野県南佐久郡）でアコースティック・コンサートが開かれた。以下は開催前のコメントだが、今回のコンサートを本人がとても楽しみにしていたことがよくわかる。

「この場所で前から歌ってみたかったんです！　ガラス張りの建物で、目前に雪景色が広がり富士山も見える中で歌えるなんて、歌手冥利に尽きますよね。昨年10月に姉の宏美がこのステージで歌い、今年1月に私が歌います。今回、“冬色”というタイトルをつけたのですが、300人くらい入るホールで音響もとてもよく、オリジナル曲にとどまらず、シャンソンやジャズも歌ってみようと思います。『This is Japan』の曲や映画音楽の曲も歌いますよ！」

　最後に、Spotifyランキングの結果をふまえて、読者やストリーミングサービスのリスナーに向けてメッセージをもらった。

「こんなに聴いてくださっているなんて、本当にビックリしています。ランキング表を通して、とても勉強になりました。まずは、そのことに感謝ですね。今後もコンサートを続けていって、メドレーなどで今回の人気曲も取り上げていきますので、ぜひ生の音楽も聴きにきてください！」

これからも、われわれの心を揺さぶる歌声を響かせ続けてほしい　撮影／北村史成

　岩崎良美は、基本的にアイドル歌手でありながら、水着撮影を断ったり、『女の子だけのコンサート』という女性限定のライブを開催したり、決して男性に媚びないスタンスを貫いていた。かといって、シンガーソングライター系のように、常にメッセージ性の強い楽曲に固執するのでもなく、ひたすらニュートラルに良質な音楽作品を発表し続けていた。

　海外のリスナーは、シティポップ目当てで「林哲司」「尾崎亜美」というキーワードなどから楽曲探しを始めているようだが、われわれ日本のリスナーは、その他の多くの作家の傾向も把握できるので、表にある豪華な作家陣を頼りに聴いてみるのも面白いだろう。もちろん、いい曲ばかりなので、作家など気にせずにどんどん聴きまくっていっても、間違いがない。それこそが岩崎良美の音楽の大きな魅力だ。

Spotifyでの岩崎良美アーティストページも要チェック！　※記事中の写真をクリックするとこの写真と同じページにジャンプします

（取材・文／人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝）

【PROFILE】
岩崎良美（いわさき・よしみ）　◎6月15日生まれ、東京都江東区出身。姉は歌手の岩崎宏美。高校時代から芸能活動を始め、1980年2月に「赤と黒」で歌手デビュー。翌3月に開催された東京音楽祭国内大会でグランプリに輝き世界大会に出場、国際友好賞を受賞。「涼風」「あなた色のマノン」「愛してモナムール」「青春」などの楽曲でも高い評価を受けたほか、『スクールウォーズ』『花真珠』をはじめとするテレビドラマにも数多く出演。'85年に発表した20枚目のシングル「タッチ」は当時のスマッシュヒットにとどまらず、令和の現在でもカラオケランキングに上位に入るなど、幅広い世代に長く愛されている。現在、長寿アニメ番組『おさるのジョージ』で主題歌とナレーションを務めるほか、アルバムリリースやライブ活動、フランス語でフレンチポップスを歌唱するなど精力的に活動中。