世間が考える“モテ”と著者の捉える“モテ”の本質の違いとは

――“モテ”に向き合ったことで、“モテ”の本質は見えてきましたか?

「本で私を知った人たちから新たにつながって、Twitterの『モテたい女性』グループに参加させていただいたりしています。それを見て“面白いなぁ”と感心する反面、やせるとか、ブラがどうといった、見た目の話題が多いのかな……と。

 その気持ちはすごく理解できますが、私の思う“モテ”とは少し違うと感じています。ずっと私は“自分は愛される人間ではない。資格がない”と思い込んでいました。でも、今になって当時の写真を見ると“意外とかわいいじゃん”と思ったりするんです(笑)。

 それは、きっといろんな経験をし友達にも恵まれ、自分が愛される資格があると思える瞬間が増えたからだと思うんです。モテは、別にたくさんの人にちやほやされることではなく、また性的なものだけではないというか……。

 うまく言えませんが、“この人が大事。愛おしいな”という気持ちを大切にしたいと思うようになりました。

 昨日のように、はしゃぎすぎて失態すると落ち込むし、まだ完全に言い切れるわけでもありません。でも、私には愛される資格があって、そうした人(パートナー)が現れるんだって、それを信じられる状態が、私にとっての“モテ”なんだろうなと、今は思っています

(取材・文/キツカワユウコ、編集/本間美帆)


【PROFILE】

黒川アンネ(くろかわ・あんね) 1987年生まれ。編集者、翻訳者、コラムニスト。一橋大学社会学部在学中にドイツに派遣留学。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。2022年自身のモテ奮闘記をまとめた『失われたモテを求めて』(草思社)を発売。Twitter→@annekurokawa