“世界の人たちとつながり、多くの人に寄り添う”人と違うからこそ生まれる発想
最近はTikTokの動画に英語の字幕を載せているそうだ。日本人だけでなく海外の人たちからもたくさんの反応が寄せられた。
「世界で同じ指の人や、同じ病気の人がいるんだとしたら、その人たちと出会いたいです。TikTokはやっぱり世界で流行(はや)ってるから、本当にいろんな国籍の方から反応が来るんですよね。ブラジル、ロシア、ウクライナとか。
日本だと“同じ指だよ”って、写真送ってきてくれた人は2人だったんですけど、海外の人だとこれまで5人くらいいて。顔と一緒に、指を写した自撮りを送ってきてくれるんです。“Hey! buddy”って、“俺も仲間だよ”みたいなことを言ってくれる人がいました」
人と違う特徴を持っているからこそ、新たな発想が生まれたという。
「僕、指輪ができないんですよ。普通の指輪だと指先に合わせて作られてるから、自分がはめると関節のところで緩くなっちゃう。
でも、“なんとかハマる指輪はないかな”って考えたんです。そうしたら、先端でサイズを決めるんじゃなくて、はめた後にサイズをカチッと締められる指輪があったら……って、思いついて。指輪を作ることができる知り合いに頼んで、作ってもらいました。
みんなと当たり前に同じように過ごしている感覚では、新たな発想は生まれにくいと思う。自分にしかない特徴を通じて生まれる、独自の視点や発想を大事にしていきたいです」
これからも発信活動に力を入れていきたい。彼の口から出る言葉には、まっすぐな思いが込められていた。
「障害を持った人が、前向きになれるようなことを伝えていけたらいいなって。自分が影響力を持っていれば、 発言にも力が加わってくると思うので。コンプレックスを強みにしている姿を伝えて、より多くの人と出会っていきたいですね」
(取材・文/桃沢もちこ、編集/本間美帆)