実際に新大阪に乗り入れる日も近い

 こんな事情から、東急・相鉄沿線に住む方々にとって、関西の阪急電車はまったくの“赤の他人”というほど縁遠い存在ではないかもしれない。新大阪にこそ乗り入れていない阪急だが、京都なら嵐山・河原町・祇園、神戸なら三宮や新開地まで阪急の電車で行けるため、関西周遊にも有効な電車だ。阪神競馬場(仁川駅が最寄り)や歓楽街の十三も沿線に抱えているので、ちょっと途中駅で下車してよりディープな関西を体感するのも面白い。

京阪神に広がる阪急のネットワーク(阪急電鉄HPより)

 そして近い将来には本当に新大阪へ乗り入れるという。大阪駅北側の「うめきた」エリアの地下に新ホームを作り、十三駅を経て新大阪駅に至る新線の「阪急新大阪連絡線」を2031年めどに開業させる計画が進行中だ。同線は建設中のなにわ筋線とも直通して関西空港方面に列車を運行する構想を持っている。

 新大阪連絡線の完成後は、阪急沿線にもJRの在来線を介さずに接続が可能に。新大阪からいったん十三に出てしまえば、宝塚にも三宮にも好アクセスというわけで、今度は阪急が関東や九州からの観光客を獲得できるチャンスになる。

「阪急電鉄は、大阪梅田を中心に、異国情緒あふれる神戸三宮、四季折々の風情や歴史が味わえる京都・嵐山、宝塚大劇場がある宝塚などに路線があり多くの方々にお楽しみいただける魅力的なスポットがまだまだあります。ぜひ遊びにきてください」(阪急電鉄)

 阪急やJRの沿線はもちろん、「私鉄王国」と称されるほどバラエティ豊かな文化をつくった関西の各エリアが、関東からの来報を待っている。

(取材・文/大宮高史)