──日本企業のアプリゲームのリリース本数も縮小傾向にあるんですか?
「この3年くらいはすごく減りましたが、2017年くらいまではかなりのタイトル数がリリースされていました。2週間に1本くらいはどこかの大手が大型タイトルをリリースしていたものの、今は数か月に1本くらいになりました。
10年前のゲームは開発費2億でしたが、5年前には5~10億、最近は10~20億円が当たり前の世界になっています。そうすると1000人規模の大きい会社でも年に1〜2本のリリースにとどまり、2〜3億円で勝負していた小さい会社はそもそも開発すらままならなくなった。開発費が重くなっている中、お金のある中国企業がどんどんリリースしていくから、より日本企業のアプリゲーム本数が絞られています」
5年以上かけて作ったゲームが、50人にしか遊ばれない現実
──リリースできたとしても、早々にサービス終了してしまうアプリゲームも多くありますよね。
「運営期間が5年以上のアプリゲームは約3.6%しかなく、ここ3年で平均運営期間が2.6年→2.4年→2.3年と徐々に短くなっています。開発費だけでなく、運営には人件費もかかります。1人当たりの人件費を月100万円と考えると、100人いれば1か月で1億円、1年稼働させると12億円かかり、さらにプロモーションコストもかかります。売上がほぼない場合もあるため、サ終(サービス終了)できたら逆にひと安心という状態になります」
──企業がサービス終了を決める際は、やはり課金額が基準になるんですか?
「いえ、ユーザーの継続率です。ユーザーが毎日続けていれば、何かのきっかけで課金してくれる可能性があるからです。課金額が高いに越したことはありませんが、継続してくれる人たちの課金率が何%なのかを調べ、課金するだけの価値をどう提供するかが重要になります。
そして売上の大半を支えるのは少額じゃなく、月1万円以上払うような課金者なんですよね。“上位2割の顧客が売上の8割を……”じゃないですが、彼らが継続するくらい満足するゲームでなければ赤字がどんどん膨らみ続けます。そういうゲームはユーザーも最初の時点で認識しているんですよね。”成立しているギルドがこれだけ少ないなら、MAU(※)は1万もいってない。だったら早めにサービス終了するだろう”と考え、課金をやめてしまうこともあります」
※MAU:Monthly Active Usersの略語。月あたりのアクティブユーザー数を意味する。