オズワルドは「意識し合う存在」、カベポスターとは芸風が近い……?
──聴かせる漫才という意味で、そういう枠があるとしたらオズワルドやカベポスター(どちらも吉本興業)の芸風がキュウに近いのかなと、素人の私は思っていました。
ぴろ:オズワルドはテンポとか地味さ加減も近い気がして、M-1のライバルを聞かれたときに「オズワルドです」って言ったことがありますね。M-1が絡むと、お互いちょっと意識し合っています。
清水:そうね。ただ、カベポスターは全然違うなあ。
ぴろ:キュウはツッコミ不在ですけど、カベポスターの浜ちゃん(浜田順平)は、思い切りツッコんじゃってるからなあ。でも、空気感が近いからカベポスターとキュウは同じカテゴリーだと思う気持ちもわかるし、実際にそう言う人は多いです。
カベポスターの永見(大吾)がキュウをリスペクトしてくれていて、うれしいんですけど、キュウにはキュウの、カベポスターにはカベポスターのすごいところがあると思っています。
清水:前はダイヤモンドもライバルだと思ってたんですけど、だんだんと芸風が変わって、そうじゃなくなりましたね。
さらば青春の光のように、現場ごとにスイッチを変えて個性を出したい
──憧れの芸人さんは誰ですか?
ぴろ:さらば青春の光さんです。コント師のイメージが強いおふたりですけど、おれは漫才のネタがずっと好きですね。タレント力が高くてしゃべりも面白い方で、漫才のネタも個性的な芸人って少ないんですよ。森田(哲矢)さんの才能をフル活用して活躍して、しかも自分たちで事務所を作って、森田さんは社長にもなっている。
清水:何でもできるすごいコンビだよなあ。森田さん、「キュウは絶対にM-1決勝に行く」って言ってくれてたんです。
ぴろ:うれしかったですね。彼らは漫才は漫才、テレビはテレビとスイッチを変えて、自分の個性を発揮できる。「おれもそんな芸人になれたらな」と、さらば青春の光さんを見ていて思いますね。
──キュウの過去の単独公演を配信のサブスクで見ていると、長い時間の漫才もすごく面白くてハマりました。M-1用のネタ作りでは長い漫才を考えてから、4分間に縮めているのですか?
清水:ネタ作り担当はぴろで、ずっと前は長い漫才を4分に縮めてM-1に出てましたけど、今は違いますね。
ぴろ:長時間のネタを縮めるのはすごく難しいんです。今は勝負用のネタは最初から3、4分になるように作ってます。ただ、長い漫才も面白いって言ってもらえるのはありがたいですね。
清水:ファンの方には本当に感謝してます。まだキュウのことを知らない方も、配信サブスクで見られる単独公演にはM-1用じゃない漫才も収録されているので、楽しんでほしいです!
(取材・文/若林理央)
【PROFILE】
キュウ ◎清水誠とぴろからなる、2013年5月に結成したお笑いコンビ。ステージでは日常においてはありえない会話を繰り広げ、独創的な空間を作り出す。ゆったりとしたテンポで繰り出される不条理かつ不可解とも思われる漫才は、ボケやツッコミという概念を崩して新たな境地に達している。'15年より「めっちゃええやん!」というフレーズを推した漫才も行う。「M-1グランプリ2022」では決勝進出も果たし、着々と活躍の場を広げている。'21年6月より、キュウの実験的サロン「研Q室」もスタート。