「音楽に“NG”はない」と語る石川、何を歌っても演歌に分類されることに違和感

 最後に、内沼と石川のクロストークにて、本企画の魅力が語られた。

内沼「さゆりさんの歌声が好き。倍音が適度にあり、特に高音域でゾクッとします。同時録音では、さゆりさんの気持ちが高揚していくのもわかる」

石川「今回の作品で、もっともっと深いところに飛んでいけた! ステージとはまた別のワクワク感があります。音楽に“NG”はない。どんなジャンルもカッコいいし、いろいろな世界を楽しみたいです!」

石川は『Transcend』アナログ盤を片手に力強いコメントを残した

 石川は、かねてから自分が何を歌っても“演歌”に分類されることに違和感があり、'90年代に「ウイスキーが、お好きでしょ」を発表し、同作がサントリーのCMに起用された際も、ギリギリまでCMでのクレジット表記を拒み、問い合わせが殺到して仕方なく“SAYURI”名義で出したという。それほどまでに“石川さゆり=演歌”という先入観を払拭したかったのだろう。

 “楽しむためには本気でやらなきゃ!”と真剣勝負で挑んだ本作の売れ行きだが、アナログ盤が税込み5500円と高額ながらオリコン169位にランクイン。また、3月31日発売予定のSACD(Super Audio CD)も予約が殺到しており、洋邦のポップス中心のアナログ市場でも、クラシックやジャズ作品中心のSACD市場にも一石を投じた作品となっている。

 “超越する”を意味するタイトルがついた本作。ジャンルを自由自在に超えた本作を聴いてみれば、能力の限界を感じたり、人やモノの区分を決めたりしてしまいがちな日常のシーンでも、もう一歩踏み込んで挑んでみる勇気をもらえるはずだ。それは案外、周囲ではなく、自分自身が枠組みを作っていることにも気づくかもしれない。

(取材・文/人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)

◎石川さゆり、新アルバム『Transcend』 CD・アナログ盤で発売中!

CD収録内容:1. 津軽海峡・冬景色 2. 風の盆恋歌 3. ウイスキーが、お好きでしょ 4. 人間模様 5. 朝花 6. 天城越え

アナログ盤収録内容:side A1. 津軽海峡・冬景色 2. ウイスキーが、お好きでしょ 3. 天城越え side B1. 風の盆恋歌 2. 人間模様 3. 朝花