ナイナイのANNに聴取率で勝ったのが記念に

 以前、リスナーの評判がすこぶるよかった深夜番組のノリは、今では通用しない。

「コンプライアンス時代ということもあるし、おぎやはぎさんの年齢やキャリアを考えてもミスマッチですよね。下ネタ企画は当時は面白かったのですが、自然に淘汰(とうた)されて……」

──『JUNK』20周年を振り返って、いちばん手ごたえのあった神回とは?

やっぱり『ナインティナインのオールナイトニッポン』を抜いて聴取率1位になった回ですよね。当時、僕は木曜日の『おぎやはぎのメガネびいき』のディレクターで、聴取率の結果が木曜日だけ勝てなかったんです。なぜなら裏がナインティナインさんだったから」

 オールナイトニッポンには勝てなくて当たり前、みたいな雰囲気があった。

「ある回で『魔法少女まどか☆マギカ』(以下、『まどマギ』)が10代の子に大人気だというメールが来て、“何だそのアニメ?”と矢作(兼)さんがDVDを見始めたら意外にも大ハマり。ところが矢作さんが面白さを一生懸命に伝えようとするんですが、伝え方が下手で(笑)。確かにストーリーは複雑だし、特殊な世界観なんですけどね。そんな矢作さんの拙い説明がウケて『まどマギ』への熱い思いがリスナーに伝わったんです。

 TBSの深夜ラジオでおぎやはぎが俺たちの大好きな『まどマギ』を語ってるらしいぞ、とアニメファンがTwitterで拡散。そのうちノンリスナーにもどんどん波及していって。その流れから、アニメの制作会社にご協力いただいてパロディにしたのが、魔法少女の小木さんが、荒れた世界で苦悩する『魔法小木おぎか☆オギダ』です。ラストにちゃんとオチをつけて大盛り上がりでした。

 聴取率の結果で『JUNK』の木曜日が初めて1位を取ったので、やっと勝てたという記念回になりました」

『JUNK』ではリスナーに語り継がれる数々のヒット企画が生まれた 撮影/fumufumu news 編集部