自身のやり方を反省し、叱り方を変えるよう努めている

 ところが、問題が発生しました。最近の学校は体罰調査というものがおこなわれています。子どもたちにアンケートを配り、「体罰を受けたことがありますか?」「他の子が体罰を受けているのを見たことがありますか?」と聞くものです。浅水さんがクラスにいた年、40人のうち1人だけ、この体罰調査に対して「先生の浅水さんへの叱り方がひどい」と回答した子がいたのです。

 教室のみんなの合意が取れていると思ったのは、私の大きな勘違いでした。これには反省しました。

 それから私は、これまでの叱り方をがらっと変えるように努力しています。大きな声で「やめなさい!」と言えばたった10秒で済む話でも、丁寧に話して聞かそうとして10分、20分と時間がかかってしまうこともあります。

 叱り方って本当に難しいんだなと思います。「非暴力」という言葉、思想がありますよね。もちろん方向性は正しいでしょう。でも、現実の学校には日常的な暴力があふれていて、目の前の暴力に対して教員がどう向き合えばいいかというとき、「非暴力」という言葉だけで解決できるのか、今も疑問は残ります。

(取材・文/牧内昇平)

【第2次訴訟の原告を募集中】

 田中まさおさんの裁判を支える「田中まさお支援事務局」は'23年4月23日、第2次訴訟の原告の詳しい募集内容を公開しました。主なポイントは以下の4点です。

《原告の応募条件》
1. 個人的な利益ではなく、本訴訟の趣旨に賛同してくれる人
2. 給特法が適用される、公立学校の現役教員もしくは元教員の人
3. 長時間労働を理由とする国家賠償請求を行いたい人
4. 正式に原告となる場合、訴訟費用として20万円を負担できる人

 田中まさお支援事務局によると、すでに教員を退職した人でも、時効(原則3年)が過ぎていなければ裁判を起こせます。また、裁判の費用については、クラウドファンディングなどで寄付を募るため、個人の負担は20万円に抑える、としています。7~8月の夏休み期間に説明会を開き、そこで弁護士や支援事務局のメンバーたちが面談を実施します。詳細は田中まさお支援事務局のTwitterアカウントなどへ。

◎田中まさおさん公式Twitter→https://twitter.com/trialsaitama
◎田中まさお支援事務局公式Twitter→https://twitter.com/1214cfs
◎著者・牧内昇平Twitter→https://twitter.com/makiuchi_shohei