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埼玉県内のとある小学校で教える「田中まさお」さん(仮名)。全国の先生たちの“働きすぎ状態”を変えるため、たったひとりで裁判を起こしたことで大きな注目を集めています。でも、田中さんの本当の活躍の場は「法廷」ではありません。「教室」です。教員生活40年、教え子の数は約1000人。ベテラン先生がいま、伝えたいメッセージとは……。

社会

【教師の残業代裁判が“第2次訴訟”へ】再起した教員の思い「社会を変えるための公共訴訟として取り組んでいく」

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記者会見で第2次訴訟について話す田中まさおさん=3月27日、文部科学省内の記者会見場、筆者撮影
目次
  • 今度は複数の教員による集団訴訟へ
  • 新しい裁判のポイントを専門家が語る
  • 教員が仕事よりも大切にすべきものは?

 教員の働き方を変えようと、ひとりで裁判を起こした小学校教員の田中まさおさん(仮名)は3月27日、都内で記者会見を開きました。テーマは「第2次訴訟」について。自らの裁判は今月上旬に敗訴が確定しましたが、今度は同じ目的で裁判を闘ってくれる仲間を募集するそうです。田中さんは言います。「仲間は50人でも100人でもいい。全国の教員のみなさん、田中まさおと一緒に新たな裁判を始めませんか?」(取材・文/牧内昇平)

(田中さんが立ち上がったわけや裁判を始めた経緯はプロローグ記事で詳しくお伝えしています→【教員の残業代裁判#0】小学校3割超、中学は約6割の先生が過労死ライン超え! 現状を変えるべく立ち上がった「田中まさお」さんとは

今度は複数の教員による集団訴訟へ

 田中まさおさん(64)は埼玉県内の公立小学校の教員です。働いたぶんの残業代や、違法な時間外勤務をさせられたことへの賠償を求めて裁判を起こしていましたが、さいたま地裁、東京高裁は田中さんの請求を退け、今月上旬には最高裁が上告を棄却したため、自身の裁判は敗訴が確定していました。

 上告棄却から約3週間がたった27日、田中さんは東京・霞ヶ関の文部科学省で記者会見を開き、全国の教員にこう呼びかけました。

「一緒に私たち教員の働き方の問題点を考えていきませんか? 私たちの働き方は、どう考えても法律違反に当たると思います。このまま裁判を終わりにするわけにはいかないのです。一人ひとりの思いを裁判で訴えていきませんか? 私、田中まさおと一緒に集団訴訟を起こしませんか?」

 田中さん自身の裁判はいったん終わりましたが、今後は全国の教員の中から同じ目的で立ち上がってくれる人を募集し、「第2次訴訟」を起こすそうです。田中さんだけでなく、これまで「田中まさお裁判」に関わってきた弁護士や研究者、大学生たちが引き続き裁判を支援。個人的な利益ではなく社会を変えるための公共訴訟として取り組んでいくといいます。

 田中さんが原告団長を務めますが、原告の人数は応募状況やクラウドファンディングなどで集まった寄付の金額などに応じて決める、としています。

 田中さんは「原告の人数はいればいるほどいいと思います。応募者数が50人だったら50人でもいいし、100人だったら100人でもいい。今までの裁判の趣旨に同意してくださる方であれば、何人でも受け入れようという考えです。ぜひたくさんの方が応募してくださることを願っています」と話しました。

原告の公募について説明する「田中まさお支援事務局」の佐野良介さん=同
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