ネタのアイデアはおしゃべりの中から。“双子あるある”が周囲に驚かれることも

──その後、1年のバイト生活を経てNSC(吉本総合芸能学院)東京校に入ったんですね。NSCの先生のアドバイスで双子ネタを作るようになったと聞きました。

それからは双子ネタしか作ってないんじゃないかな。多摩川の河川敷でひたすらネタ合わせをしてました。

──自分たちの才能に気づいたのは、NSC(吉本総合芸能学院)東京校を首席で卒業したときですか?

:そのときはまだ自分たちもみんなと同じくらいだと思っていて、芸歴6年目か7年目のときに「俺らって漫才うまいんだ」と自覚しました(笑)。たぶん双子だから、呼吸するようにテンポよく間(ま)もとれていたんでしょうね。振り返ると、それができるNSCの学生とか新人って、いないんですよ。

──ネタ作りはずっとふたりで?

:そうですね。最初、NSCの先生に「双子ネタを」と言われて、どうやって双子を活かすか悩みました。ワードから入るか、ネタの設定からか、自分たちの気持ちと観客の気持ち、どちらを題材にするのか……。

その後は基本、ほかの人とのおしゃべりの中からアイデアを見つけるようになりましたね。

双子だからわかることもあれば、そうではないこともある。ネタ作りのために不可欠なのは、双子ではない人たちとのおしゃべりだった 撮影/伊藤和幸

─―おしゃべりの内容は?

自分たちが双子なので、端から見た“双子ならでは”のことが何かわからないんですよ。俺たちの2つ上に兄貴がいるってネタがあって、それも先輩に「ほかに兄弟いるの!?」って笑われたことから生まれました。どうして驚くのか聞いたら、「双子って、ほかの兄弟がいないっていうイメージあるからさ」って言われて、気づきをもらったんです。

昔のネタを引っ張り出して漫才することもありますけど、おしゃべりはすごく大事。「拓は大をお兄ちゃんって呼んだことあるの?」と聞かれて、呼ぶはずないじゃんって思ったこともネタになりました。昨年、単独公演で「2段ベッド」というネタをやって。それも誰かとしゃべっているとき、「高2まで2段ベッドを使ってた」と言ったら「高2までって遅くない?」って驚かれて。

:実家には兄貴の部屋と俺たちの部屋ふたつがあって、俺らの部屋は狭かったし2段ベッドがいちばん効率よく使えるから、しょうがないじゃないですか。「どっちが上でどっちが下だったの?」と言われて「上下決まってないんです。先に寝てるのがどっちとか、気分で決めてました」と言ったら「気持ち悪っ」って引かれて(笑)。

──気分で決めていた……!?

:そう、そんな感じで。おしゃべりで「ここが違うのか」って気づいて、それがネタになっていくんですよ。

「今はファンのみなさんと一緒に歳を重ねている感覚」中には“ガチ恋”の人も!?

──芸人になった経緯も含め、考え方や好きなもの、行動が似ているのが印象的ですが、おふたりの違いはどのようなものがありますか?

:うーん、違いか……。

:うーん……。

──すぐに出てこないんですね!

しいて言うなら、最近は拓のほうが頑固かもしれないですね。俺のほうが、柔軟性があって、意見やネタが割れたら拓に合わせることが多いかも。でも、前は逆だったんですよ。双子と言っても、今は俺がボケ、拓がツッコミと役割が分かれている。双子漫才師は立ち位置によって、ちょっとずつ違いが生まれてくるものなのかもしれないです。というか、双子で一緒に漫才してるって変ですよね。

──まったく変だと思ったことがありません。

:いや、俺は客席にいて双子コンビが出てきたら変だと思います。

:双子を見たくなったことなんか一度もないですよ。でも俺が思うに、双子好きの人が一定数いるんですよ。そういった方々が見に来てくださるのはありがたいです。