院内店舗以外の取り組みは? 地域との連動や院内学級も

──院内店舗以外にも、取り組んでいる事業などはありますか?

知久“タリーズアクション”というコンセプトのもと、さまざまな取り組みを行っています。環境面では脱プラスティックの方向で、ストローを紙ストローに切り替えています。また、特色のある地域の場合は、地元要素をできる限り店舗に取り入れています。例えば沖縄では、『タリーズカード』というプリペイドカードに首里城をデザインしています。このカードを使って決済すると、火災に遭ってしまった首里城の復旧・復興支援金として寄付される仕組みです。

首里城がデザインされた限定版のタリーズカード(写真右)。売り上げの一部が首里城復興のために寄付される仕組み 画像提供/タリーズコーヒージャパン株式会社

──普段の利用が、地域貢献につながるのですね。

知久富士市中央公園店(静岡県)は、公募で公園内店舗としてオープンしているのですが、富士市との取り組みもあり、富士ヒノキを使って、富士山のような三角屋根の木造建築に仕上げているんです。市が行うイベントなどの拠点にもなっています。

──街ぐるみで環境づくりに取り組んでいるのですね。

知久:そうなんです。コミュニティに根差したカフェを作ろうと、社内でも『コミュニティーカフェ大賞』というイベントを開催しています。この富士市中央公園店は今年の優勝店で、店内で市民の方と一緒にライブを行うなど、積極的な活動をしている店舗です。

店内でライブを行うという斬新な取り組みをしている、タリーズ富士市中央公園店。地元の方々からも評判だという 画像提供/タリーズコーヒージャパン株式会社

──タリーズの店舗では、絵本を取り扱っているのも見かけます。

知久:子ども向けの取り組みでいうと、20年ほど前から『タリーズピクチャーブックアワード』という一般公募型の絵本コンテストを行っています。絵本作家の発掘・支援と子どもたちに夢や希望を届けることが目的で、入賞した作品を絵本にして病院に寄贈し、売上の一部を子ども支援専門の国際NGO『セーブ・ザ・チルドレン』に寄付しています。また、院内店舗がきっかけとなって、骨髄バンクのパンフレットを院外含む全店舗に置くようにしています。

『タリーズピクチャーブックアワード』で入賞した作品は実際に絵本となって病院に寄贈される 画像提供/タリーズコーヒージャパン株式会社

──ホスピタルローソンではどのような取り組みをしていますか?

田中:病気で学校に通えない児童の方向けに院内学級を併設している病院で、『ローソンわくわく教室』という取り組みをオンラインで実施しました。コンビニがどういうところかわかるようなクイズを出したり、当社の商品・サービス、SDGsに関するの取り組みなどをお話しました。

──ホスピタルローソンがきっかけとなって、院内でもさまざまな取り組みがされているのですね。

田中ほかにも結核病棟やコロナ病棟など外に出られない環境にいる方々へのワゴン販売をおこなっています。ホスピタルローソン以外でも、例えば、スーパーなどがない介護施設などに移動販売車で訪問販売もしています。また、耳マークを表示した指差しシートをレジカウンターに設置し、聴覚に障がいのある方の買い物サポートする取り組みも実施しています。水素を燃料とした「燃料電池小型トラック」を導入したりと、環境にも配慮した取り組みも行っています。