「うちの子、本当に幸せだろうか──?」
ペットと暮らす人ならば、きっと一度はそう思ったことがあるはずだ。食欲がなくなれば、「どこか具合が悪いのかも」と気もそぞろになり、あればあるで、「ごはんが足りてないのかしら?」と思ったり。
人間の子どもならば、2~3歳にもなれば自分の気持ちを訴えてくる。だが、ペットでは、そうはいかない。私たちがつらいときには寄り添ってくれ、決して裏切らないパートナーなのに、人がどんなに幸せにしてあげたいと思っても、なにを考え、どう思っているかに関しては、知るのはなかなか難しい。
第六感を意図的に使えば、生きものと話せる
「生きものの気持ちを知る方法がありますよ。それがアニマルコミュニケーションです」
こう語るのは、ハワイ在住のアニマルコミュニケーターで、『いぬと話す ねこと話す 生きものの気持ちがわかる本』(自由国民社刊)の著者のShioriさんだ。
Shioriさんによると、アニマルコミュニケーターとは、ペットを含む生きものと話ができる人のこと。意思疎通にはテレパシーを用いると語る。
「テレパシーというと、特殊な人だけが持っている、特殊な能力と思われるかもしれませんが、誰もが持っている直感のことなんです。
みなさん、ふと“お母さんに連絡しようかなあ”と思って電話してみると、ちょうどお母さんの体調が悪かった。こんなことってありますよね?
そんな“ふと思ったこと”こそが、第六感と呼ばれる直感です。これを意図的に使える人がアニマルコミュニケーター。ですから訓練すれば、誰でも使えるようになるんです」
具体的な訓練法については、インタビュー第2弾をお読みいただきたいが、まったくの初心者でも、一度も会ったことがない動物の写真と少しの情報があれば、その子の性格や好きなものなどのメッセージを受け取ることができる、とShioriさんは言う。
飼い主に確認すると、写真のペットが大好きなおもちゃの色や形であったりするそうだから、ペットと暮らす人ならば、思わず身を乗り出してしまうではないか。
素直な人が伸びる
訓練すれば誰でもできるというアニマルコミュニケーションだが、この能力を普段から使っているという人はまれだろう。
「『言葉』という道具を使うようになってから、人間はこの直感を受け取るアンテナが埋もれて、サビついています。だから動物と話すためには、この埋もれているアンテナを引き出して、磨いてあげる必要があります」
カンのいい人はそのアンテナを普段から使っているので、ペットと意思疎通しやすい傾向にあるという。
反対に遅くなりがちなのが、物事を理詰めで考える思考派タイプとShioriさん。かく言うShioriさんももともとはバリバリの思考派だったそう。
「自分の中に入ってきた動物からのメッセージに疑いを持たない、すんなりと受け入れるように心がけると、どんどん動物からメッセージを受け取れるようになります」
まるでドリトル先生のように動物と話すことは、昔から多くの動物好きたちの夢。でも、ことがことだけに、ついつい疑いを感じてしまうのは当然だろう。
「疑いを証明できる方法があります。それは『検証する=答え合わせする』ことです。動物から受け取ったことが本当に合っているか? 飼い主さんにお伝えして、確認をします。そうすることで“本当に動物が言っていることを受け取れているんだ!”と確信が持てるようになります」
“確かにあってる!”“不思議だけど、ちゃんペットと話せた!”と実感できれば、疑いは消え、第六感を信じる気持ちが湧いてくる。信じる気持ちが湧き起こることでアンテナが加速度的に伸びて、どんどんサビが落ちていくのだという。
メッセージの受け取り方は人それぞれ
ちなみに、アニマルコミュニケーションの能力にも個性があって、(1)映像として見えるタイプ、(2)思考(メッセージ)として受け取るタイプ、(3)感情として受け取るタイプと、主に3つのタイプがあるとShioriさん。
これは第六感を受け取るアンテナが1本だけじゃないために生まれる個人差で、最初のうちは、生きものの考えなのか、自分の考えなのかわからないこともよくあると言う。
「私は主に映像でメッセージを受け取り、そこに動物の思考と感情が乗ってくるというように、すべてのツールをフル活用して動物とコミュニケーションを取っていますが、最初の頃は感情と思考だけで動物とお話ししていました。得意なコミュニケーションツールは人それぞれです」
Shioriさんの場合、映画でも見るように生きものの姿が見え、声が聞こえ、メッセージが受け取れるそう。さらにこんなことも。
「以前、30年前と50年前に亡くなったわんちゃんとコミュニケーションをしたいとご依頼を受けたことがありました。でもお写真がないんです。一か八かやってみたら、2頭ともちゃんと生前の姿が見えて、毛色や犬種などを伝えることで、その子とお話ししている証明をしたことがあります」
ちなみに、“気持ちがいいなあ”“清々しいなあ”と思えるものに接する行為──具体的には植物のエッセンシャルオイルやフラワーエッセンスを使用することは、アンテナのサビを落とし、感度を上げるのに効果的だ。掃除にも効果があると言う。
「動物とつながりやすい状態とは、自分の波長を、できる限り動物の波長に近い状態にすることです。その助けをしてくれるのが、一般的に言われる『浄化』だったり『波動を上げる』ことです。手っ取り早い方法としては『植物』の力を借りるのがおすすめです」
そして一度でも生きものと話す体験ができてしまえば、それ以降はアニマルコミュニケーション能力は伸びる一方とShioriさん。
「アニマルコミュニケーションの上達のコツは、成功体験を増やすことです。動物とつながって話せた! という体験をすることで、その経験はその人の細胞1つ1つに記憶されます。逆に、動物と話せないという体験の期間が長くなると、細胞に動物と話せないという記憶が埋め込まれます。だから私の生徒さん達には、早い段階で動物とつながれたという体験をしていただきます。
でも、アニマルコミュニケーションを習得するために一番必要なこと、それは、きちんと動物との話し方を学び、練習と答え合わせを繰り返すことです」
アニマルコミュニケーターには、素直で前向きな心が欠かせなもののようだ。
愛するペットの生涯を幸せで満たすことができる
さて、この能力を身につけると、おもしろいことが起こるようだ。
「道を歩いていると、よく道行く動物たちからガン見されます。動物たちには私が動物と話せることがわかるんです」
生きものから“この人間とは話せる!”と認めてもらえるのもうれしいが、それよりもっとうれしいのが、この力を身につけることでパートナーである犬や猫に、幸せな犬生、猫生を送らせてあげることができ、ペットロスを軽減することができる点だ。
「約3年前、1年半の闘病生活を経て、私も大切な愛犬くぅちゃんを亡くしました。でもアニマルコミュニケーションができたおかげで、うちの子が望むことをすべて与えて送り出せたと思っています。
くぅちゃんには私のつらかった人生をすごく支えてもらったので、ペットロスになるなぁと思ってましたが、不思議と事実を受け止めることができました。もちろん寂しさはありましたが、後悔の念がなかったのです。してほしいことすべてをやってあげることができ、うちの子自身が、大満足して旅立ってくれたからです」
いつかは必ずやってくるのが愛するペットとの別れ。わかっていても多くの人がペットロスに苦しむのは、言葉でのコミュニケーションが取れないからだ。だからこそ飼い主は、“なにかしてやれることはなかったんだろうか?”“本当はすごく苦しかったんじゃないだろうか?”と悩み、苦しむ。そうした疑念や後悔こそが、ペットロスの大きな原因だろう。
だがペットと話せ、コミュニケーションが取れれば、どこがどう苦しいのかから始まって、薬は効いているか否か、なにが食べたいのか食べたくないのかまで知ることができる。
いつか旅立っていくことは止められないものの、それまでの期間を、幸せな状態で過ごさせてあげることができるのだ。
「苦しんでいる伴侶動物を前にするとつらいですよね。でも苦しんでいる動物にしてあげるべきことがわかると、飼い主さんの不安が和らぎます。その子がしてほしがっていることがわかるからです。
不安が和らぐのは動物のほうも同じです。愛されていることを実感しながら、大満足で旅立っていくことができますから」
飼い主にとり、ペットはわが子同然の存在。そんなわが子に、幸せな犬生、猫生を送ってもらうことができる。
これこそが、アニマルコミュニケーションのもっともすばらしい恩恵なのだ。
※Shioriさんインタビュー第2弾《「動物と話せるようになると人間関係もラクになる」アニマルコミュニケーションの習得法とは?》(3月31日18:00公開)では、アニマルコミュニケーションの身につけ方や、人間にもたらすメリットについて詳しく伺います。
(取材・文/千羽ひとみ)
〈PROFILE〉
Shiori ハワイ在住アニマルコミュニケーター。白井レイキ&カルナレイキマスター/ティーチャー。日本の大学を卒業後、米国で航空機のパイロットを目指すも挫折。帰国後、大手通信会社に16年間、営業職として従事するが、すべてを手放してハワイへ移住。1年後、アニマルコミュニケーションと出合う。8か月後には米国でビジネスを立ち上げる。現在オンラインで世界中の生徒さんへアニマルコミュニケーションを教えている。
ブログ https://ameblo.jp/animalhawaii
☆4月3日(日)10時〜12時、Shioriさんの無料トークライブ開催