ツイッターとインスタグラムの合計フォロワー数は160万超。9月にはファースト写真集『Ribbon』、11月には電子写真集の『蝶々結び』(ともにKADOKAWA刊)をリリースして、ますます波に乗るグラビアアイドルの似鳥沙也加さん。
インタビュー後編ではファンとの付き合い方から将来のキャリア設計、人生観、引きこもりや不登校の生徒に対して考えていることなど、より似鳥さんの内面に迫ります。
【前編:インスタグラビアの女王、似鳥沙也加が1st写真集に込めた思い「明日生きられるか不安でも、私が頑張れるのはファンのみなさんのおかげ」】
最年少のファンは6歳の男の子
──ファンとの交流を大事にされている似鳥さんですが、フォロワー数が100万超のインスタグラムでも丁寧にコメントを返信していますね。
「全員に返信するのは無理ですが、そこは好きにコメントしています。素敵な言葉の人には返信したいし、つらいと訴えてくる人には大丈夫だよと言ってあげたい。名前を知ってる子がイベントに来たら名前を呼んであげたいですし」
──ファンの年齢層はどのくらいなんですか?
「インスタを見てくださるファンは年下の子が多くて、先日は6歳の子がイベントに来てくれたので、持ってきたお人形にサインをしました。最年少ですね(笑)。上は50代の女性の方も来てくれますし、本当に幅広いです。ただ、マスクの時代になって顔を覚えにくいのが悔しいんです。マスク前からのファンの人はほぼ覚えてますから」
──本当にファンと会える数少ないイベントの機会を大切にしているんですね。
「最近は向こうから名乗らなくても、“DMをくれたあの子かな?”というのがわかるようになってきました。つらそうなメッセージを出している子は、目を見ればわかるような気がするんです」
引きこもりや不登校の子の力になりたい
──今後のキャリアとしてカウンセラーを視野に入れているとか。
「カウンセラーには小学生のころからお世話になっていて、今も通ってます。私が学校に行けなかったときにかけてくれた先生の言葉はいまだに覚えていますし、不登校の生徒がどんな言葉をかけてほしいのか、ある程度はわかっているつもりなのでその道に進みたいと考えています。私が保健室登校でお世話になった先生とは今でも連絡を取り合っています。今もそういった生徒は多いので、当時の自分の気持ちを伝えることで役に立てればと思います」
──カウンセリングは経営者やアスリートでも受けている人は多くいますし、アメリカでは日本以上に浸透していると聞きます。似鳥さんはどのくらいのペースで受けているんですか?
「私の場合は1回90分くらいで、1年前から週1で通ってましたが最近は行けてないんです。最初は自分のブログに書いてもいいのかなって思いはありましたけど、実際はそこまでマイナスの反応はなかったです。カウンセラーにもいろんなタイプがいて、私はアドバイスを積極的に出してくれる人が合っているみたいです。自分自身を保つためにカウンセリングは私にとって必要なものですね」
──似鳥さんの経験を生かしてできることはいろいろありそうですね。
「引きこもっていると、人生のレールから外れてしまったという孤独感でいっぱいになるんです。私はそこで頼れる人がほとんどいなかったので、不登校の生徒たちに寄り添える形を作れたらと思います。今はボランティアで何かできないかを探していて、でもグラビアの仕事を続けながらでいいのかなという迷いもあります。もちろん応援してくれるファンの方への思いはありますが、もう将来の道が閉ざされてしまったと思っている子どものために、私なりのサポートをしていきたいんです」
──似鳥さんのSNSのフォロワー数は今も伸びていますし、多くのファンがこれからの芸能活動を楽しみにしていると思いますが。
「本当に地味な人間なので(笑)。有名になったね、とか言われるけどまったく違うんだよと言いたいです。私もひとりで泣いて、苦しい夜を過ごすときもあります。本当にファンのみんなと同じなんだよと伝えたいです」
──具体的な今後のキャリアも含めて、まだ手探りの状態ということですね。
「そうですね。今を生きることで精いっぱいなんです。小学生のころから、いい意味でも悪い意味でも先は見えない。悪い意味が大きいけれど、そうやって生きてきましたから」
──その生き方は改善したいのか、それとも個性として受け入れているのか、どちらですか?
「ずっと昔からそうですし、これでしか生きられないのかなと思います。本当は治したい気持ちもあるけど、これでなきゃやっていけない自分がいるのもわかってるから。とりあえず、生きている間に何ができるかを考えています(笑)」
引きこもりは可能性にあふれた存在
──今回のインタビューで似鳥さんを知った人の中にも、引きこもりや不登校を経験した方がいるかもしれません。似鳥さんからのアドバイスがあればぜひ。
「よく、人見知りを克服する方法とか、孤独なときの対処法とかを聞かれるんですけど、私はどちらも克服していません。無理に克服しなくてもいいという思いがあって、毎日いろんな工夫をして生きていれば楽しいこともあるし、克服できないからといって落ち込む必要はないと思います。
私も孤独な時間がいっぱいあるからこそ、生きていられるというか、いろいろと考えられることも増えるし、それは孤独だからこそなんです。引きこもりでできないことが多すぎたからこそ、目標が無限大に広がるというか。引きこもりって可能性が広がりすぎてる人だと思うんです。苦しいこと、つらいことがあるのは私も同じだよと伝えたいです」
──引きこもりの自分も肯定するということですね。
「可能性が広がってて、キラキラしてるって思いますもん。コンビニに行くだけでも目標になって、可能性が広がるじゃんって(笑)。引きこもりでも、自分の考え方を変えたら素敵な部分があるはず」
──ファンとの距離が近い似鳥さんのアドバイスは説得力があります。
「以前、女の子のファンからつらいというDMをもらったとき、“いつかコンビニでお酒買って歩きながら飲もう。その日まで、お互い頑張ろうね”って返したら、彼女から“それまで頑張って生きる”って返信が来たんです。人間、楽しいことがあるだけで生きられるので、それを一緒に見つけようって。私が言えたことじゃないと思いますが(笑)」
──やっぱり、楽しいことを見つけるのは大事ですよね。
「私は芸能界に入ろうと思って入ったわけじゃなくて、インスタにグラビアふうの写真をアップしていたらメディアの方からお声がけいただいて今に至ってるので、この活動を続ける理由が必要なんです。それはファンのために恩返しをすることであって、みんなが楽しむ時間を作ることです。目的もなく有名になりたい、といったモチベーションでは続けられないと思います」
スイッチが入れば撮影時の恥ずかしさも消える
──似鳥さんは極度の人見知りである一方、ファンとの距離は非常に近く、グラビアの撮影では大胆になる。そんな相反する面が同居してるのが魅力なのかなとも思いました。
「子どものころから人が怖いと言ってるのに、ファンの人は大好きです。でも、初対面の人は今でも緊張します。自分でも何なんだろうって思いますね。好きな作品、みんなが喜んでくれる作品を撮るためなら頑張れるという感じですね」
──撮影では何かスイッチが入る瞬間があるんですか?
「撮影時に恥ずかしいとかの感情はないですね。とにかくスタッフのみなさんが頑張ってくれるから、いい作品を残したいという思いが強くて、スイッチが入るんです」
同席のマネージャーさん「撮影を見ていると本当にその瞬間だけ別人になってます。そこはプロだなと思いますね」
──似鳥さんの出演した番組を見ると、そつなくこなしているように見えますが、その裏にはいろいろな葛藤があるんですね。
「今でも収録が終わった後は“おお~、緊張した~”って泣いてますから。これからもそんな感じで生きていくんだと思います(笑)」
(取材・文/松山タカシ)
《PROFILE》
似鳥沙也加(にとり・さやか)
1993年生まれ、福岡県出身。素人時代にインスタグラムで自撮りのグラビアを掲載する「#インスタグラビア」で人気に火がつき、現在フォロワー数は110万人以上。多くの雑誌の表紙を飾るほか、2022年4月には自身初めての舞台『誰かも知らない。』に出演するなど、活躍の幅を広げている。
《Information》
1st写真集『Ribbon』(KADOKAWA)が4度目の重版決定! 全ページ本誌未収録、デジタル写真集『蝶々結び』も好評発売中。atmos×似鳥沙也加のコラボ商品も公式サイトにて販売中。最新情報はインスタグラムにて。