2022(令和4)年12月9日、皇后雅子さまは59歳の誕生日を迎えられました。この1年はコロナ禍にあって英国・エリザベス女王の葬儀出席や即位後初めての沖縄県ご訪問など、さまざまな公務をこなされました。
天皇陛下とのご成婚から、もうすぐ30年。平成の皇太子妃時代から令和の皇后となった現在まで、雅子さまはさまざまな機会で印象深いお言葉を語られています。国際問題や社会情勢についての英知、弱い立場の人々に注ぐ視線、ご家族への感謝の気持ち──ときにユーモアも交えた言い回しには、聡明で誠実なお人柄が表れています。
そんな雅子さまの語録を編集部が厳選し、2回に分けてお届けします。
お子さまを待ち望まれる中、夫婦の絆を育んだ日々
「雅子さんのことは僕が一生、全力でお守りしますから」という天皇陛下のプロポーズを受け、1993(平成5)年6月9日にご結婚。ハーバード大学卒で外務省出身というキャリアがクローズアップされ、新しい時代のプリンセスとして国内外の注目が集まる中、雅子さまの皇室での生活が始まりました。
◎「家庭でオーケストラをつくるような……ほどの子どもの数は、おっしゃらないでくださいね」
1993(平成5)年1月。天皇陛下とのご婚約が内定し、初めて記者会見に臨んだ雅子さま。お子さまは何人ご希望か、という記者からの質問を前もって想定しており、天皇陛下に“あまりたくさんの子どもが欲しいと言わないでください”と、やんわりクギを刺していたそうです。音楽好きでビオラを演奏される陛下のことを気にかけたユーモアが光ります。
◎「物事はなるようになるのではないかという感じです」
おふたりのご結婚直後からお世継ぎ誕生の期待が高まり、メディアの報道も加熱しました。1994(平成6)年2月の記者会見で、雅子さまはそんな風潮について「特にそういうこと(プレッシャー)もございませんけれども、物事はなるようになるのではないかという感じです」。天皇陛下も「あまり周りで波風が立ちますと、コウノトリのご機嫌を損ねるのではないか」と答えられましたが、待望の愛子さま誕生はそれから約8年後のこと。「なるようになる」と、雅子さまは達観しながら重圧に耐えられたのかもしれません。
◎「“夫婦ゲンカは犬も食わぬ”と申しますけれども、ケンカの種はわりとよく拾って食べてくれるような気がいたします」
1998(平成10)年、35歳の誕生日記者会見で。夫婦円満の秘訣についての質問に、当時飼っていた愛犬「ピッピ」と「まり」を例に出して答えられました。「仲直りが必要なようなケンカには、あまりなりません。ただ、相手に不快な思いをさせてしまったかしらと思うときには、素直に謝るということが大切なのかもしれない」とも補足して話されています。
平成の皇太子妃としてのあり方を模索されて
ご結婚以来、さまざまな公務を果たしながら自然災害に遭った人たちや、困難な状況にある子どもたちに寄り添い続ける雅子さま。プライベートでは音楽や登山など天皇陛下と共通の趣味も楽しみながら、夫婦の絆を深めました。一方でご自身のキャリアや能力を伝統的な皇室でどのように生かすことができるかを自問する日々でもあったようです。
◎「春ももうすぐ来ますし、暖かくなります」
1995(平成7)年1月17日、阪神・淡路大震災が発生。翌月、天皇陛下と兵庫県の被災地を視察した雅子さまは、真冬の厳しい寒さの中で避難所生活を送る被災者をこう気遣いました。腰をかがめ、ひざをついて地元の人たちの声に耳を傾けるおふたりの姿はこのとき以来、大きな災害が起きるたびに何度となく見られるようになります。
◎「難しい状況に置かれている子どもたちには心を寄せていきたい」
1997(平成9)年、34歳の誕生日記者会見では「難しい境遇に置かれている人々が(略)希望ですとか、新しい力を見いだすことのお手伝いが少しでもできるよう」とも語られています。社会的な弱者に寄り添い、励まし、助けることも雅子さまのライフワークのひとつだといえます。
◎「伝統的な皇太子妃のあり方というものと、それから自分らしさというものを、どのように調和なり、バランスのよい接点というものを見いだしていくかということについては、その時々で苦心もいたします」
1996(平成8)年、33歳の誕生日会見で「皇室に入って自身の中で変わったこと、環境が変わって戸惑ったこと」を聞かれて答えた一節です。前年までの誕生日は文書でご感想を発表していた雅子さまは、この年初めておひとりで記者会見に臨みました。「こんなに話したのは初めてなので、とても喉(のど)がカラカラになりまして」というほど緊張したそうですが、皇太子妃としてどうあるべきかを素直にはっきりと語られるなど、雅子さまらしさが存分にうかがえるものでした。
※後編の記事はこちら→皇后雅子さまの気さくなユーモアと人間味にあふれるお言葉集【後編】愛子さまへの願い、コロナ禍での思いやり
(文/fumufumu news編集部)