2021年12月1日に20歳のお誕生日を迎えられる愛子さまが、ご両親と歩んできた軌跡を振り返る短期連載。第1弾では、愛子さまがご誕生されてから、4歳ごろまでの悲喜こもごもをみてきた。(【愛子さまの軌跡#1】“特別な環境で育つ子”へ、ご両親が注いだ愛情と教育)続く第2弾では、さらに成長され、いじめなども乗り越えながら皇族としての自覚を持ち始められた愛子さまのご様子をレポートする。
動物や昆虫に愛を注がれて
皇太子ご一家と生き物の関係は、とても深い。両殿下は愛子さまのご誕生前からクワガタやカブトムシを育てたり、お住まいのある赤坂御用地で、ケガをしていたタヌキを病院に連れて行って一時的に保護されるなどなさっていた。
愛子さまがご誕生したときには、やはり赤坂御用地に迷い込んだ雑種が産んだ子犬(「ピッピ」と「マリ」)がいたが、2009年に相次いで永眠。翌年、赤坂御用地に迷い込んだのは、今度は母猫と4匹の子猫たちだった。愛子さまが学校でチラシを作って、里親探しをなさったが、母猫と1匹の子猫の里親が見つからずにお住まいで飼うことになったという。愛子さまは最初、母猫を仕草が人間に似ているとの理由から「人間ちゃん」と呼んでいたが、後に「セブン」と改名。子猫は「ミー」と名付けられた。
その後、生後2か月の保護犬を動物病院から引き取り、愛子さまが「由莉(ゆり)」と命名なさった。
愛子さまは、亀も何匹も飼っていて、それぞれに名前をつけていた。また、蝶やトンボなどの昆虫にも詳しいといわれた。
学習院初等科2年生のときには「いきものがかり」をなさっていた。初等科の卒業文集でも、3つの共通テーマのうち2つが動物についての作文だった。
「『夢』というテーマでは、動物の殺処分がなくなればいいという内容で、『12歳』というテーマでは、ペットの存在で毎日が楽しく生活できる喜びを書かれていました」(元宮内記者)
いじめを乗り越え、皇族としての自覚も
順風満帆ともいえるご成長だったが、愛子さまが初めて学校生活の中で困難と向き合ったのは、2年生のとき。ある日の朝、「いきものがかり」として楽しみに通学していたのに、突然「お腹が痛い」と言ったのがきっかけだった。
侍医が愛子さまとのやりとりで、学校に行きたがっていないことを察知。さらに、雅子妃がよく話を聞いてみると、校内に乱暴な児童がいて登校するのが怖いという。
だが愛子さまは、学校が好きで行きたいともいう。最初は、雅子妃も「行きなさい」とおっしゃったというが、愛子さまは行きたがらない。愛子さまは「学校に行きたくてもいけない」というつらさを抱えておられた。
学校側と東宮職の話し合いが続き、雅子妃が病をおしながら愛子さまに付き添われて登下校なさるようになった。
マスコミからは「公務はできなくてもお付き添いはできるのか」と批判されたが、雅子妃の付き添いは続いた。
のちに、そのときの胸中を「与えられた状況の中で唯一とれる可能性として続けてきたものでした」と説明。実際に、愛子さまが5か月ぶりに学校へ行ける日も出てきた。
3年生の9歳のお誕生日には、おひとりで写真撮影に臨まれた。公開された3枚の写真には、笑顔の写真と書道の練習をなさるお姿が写っていた。
「愛子さまは、撮影のときには堂々となさっておられました。立派になさらなくては、という自覚があったようにお見受けいたしました。書道を習い始めたころから、文字が大きくてのびのびとなさっていましたが、9歳になってもしっかりとした文字で、上達されていました。皇族としてのご自覚が芽生えていらっしゃることを、何回も練習なさったという文字からもうかがえました」(当時の東宮職)
わが子を信じて添い遂げ続ける
4年生になると、愛子さまの不規則登校があと少しで通常になるかもしれない、というところまで来ていた。
雅子妃は、愛子さまがお友達と行きたがっていた2泊3日の郊外学習で山梨県山中湖村へ行くことに賭けた。
通常、保護者は同行しない行事だったが、雅子妃はお付き添いを決心された。メディアから“母子密着”、“異常な親子”などと批判を浴び続けたが、後の会見で「このことが学校に戻るための自信と励みになった」と、きっぱり語った。
子どもが困難な状況に陥ったときに、言葉で強く叱(しか)るだけではなく、あきらめて放っておくのでもなく、子どもを信じて添い遂げ続けるという信念が感じられた。
小学校6年生の初等科最後の運動会で行われた組体操で、いちばん下の列で歯を食いしばって、上に乗った生徒を支える愛子さまの姿は印象的だった。
雅子妃は、愛子さまのご様子や頑張っている生徒たちをご覧になって、涙を浮かべていた。お住まいに戻られてから、両殿下から改めて、
「本当によく頑張りましたね」
そんな言葉をかけられた愛子さまは、これを機にさらにご成長をされて、皇族としての意識が垣間見えるようになっていった。(続)
(取材・文/友納尚子)