陛下が愛子さまの大きな成長をお感じになったエピソード
15歳になられた愛子さまは少しほっそりとされたことで、周囲から痩せてきれいになったと注目された。このことがきっかけで過激なダイエットに励み、摂食障害寸前まで体重がグンと減ってしまわれた。目まいや胃腸障害などが続き、学校を欠席なさるようになった。
その間、雅子さまは愛子さまのお身体を心配されて、病院の検査にも付き添われた。もともと、中学生の後半は給食部に入られるなど召し上がることが大好きだったというが、この時は喉越しのいい食べ物や水分しか受けつけなくなってしまっていた。一般的に食べないことで心臓が弱くなったり、脳に酸素がいかなくなるケースもあることから、雅子さまは、なんとか愛子さまに健康を取り戻させようと、食べさせるのに必死だったという。
そんな愛子さまのイメージを払拭したのが、中学の卒業文集に寄せた『世界の平和を願って』という作文だった。修学旅行で訪れた広島の原爆ドームや平和記念資料館を見学。作文では《「平和」は、人任せにするのではなく、一人ひとりの思いや責任ある行動で築きあげていくもの》とし、
《そう遠くない将来に、核兵器のない世の中が実現し、広島の「平和の灯」の灯が消されることを心から願っている》と綴られた。
陛下は、愛子さまの大きな成長をお感じになった時のエピソードの一つとして、この作文の内容を会見の中であげられている。
多くの方の支えや御協力があってこそ
高等科では、愛子さまの体調も落ち着きを取り戻されて、2年生でイギリスに短期留学へ。学校の特別プログラムを優先されて、私的な外国旅行という選択はなさらなかったのは、愛子さまのご意思と、両陛下が高校生活の楽しい思い出を残すためにも勧められたのではないかといわれる。両陛下は、皇族として務めを続けていくためには、学校生活の楽しい思い出はとても重要なもので、何かが起こった時にも乗り切れるきっかけになるとお考えになっているそうだ。
約3週間の「イートン校」サマースクールの思い出も愛子さまにとって間違いなくよいご経験となったといわれた。
今年初めて参加された「歌会始の儀」のお題「窓」では、当時の気持ちを次のように詠まれた。
《英国の学び舎に立つ時迎へ開かれそむる世界への窓》
20歳の記者会見では、これまでの人生を振り返られて、
「今までの、あっという間のようで長くも感じられる充実した月日を振り返りますと、これまでのあらゆる経験は、多くの方の支えや御協力があってこそ成し得たものであると身をもって感じております」と感謝の言葉を口にされた。その言葉は未来へとつながっているようだった。
雅子さまはお世継ぎ問題やご病気が理解されず、陛下もまた公務の先が見えないなどと宮内庁内から批判されて、孤独をお感じになったからこそ愛子さまを守るためにも、あふれるほどの愛情を注がれて寄り添われてきた。
陛下は「家族は個の集合体」と述べられたことがある。ご家族で助け合いながらも尊重と寛容を忘れない。そんな家族の在り方は、私たちにともすれば忘れがちな何かを教えてくれている。
(取材・文/友納尚子)