主婦の鑑でおしゃれな母だが、同居してから見る目が変わった
それでは、話がそれたが、ここで、わが家の老女を紹介します。
母・かねこ──大正14年生まれの専業主婦。一度も働いたことはないが主婦の鑑。いつも掃除が行き届いていて家の中はピカピカ。また料理の腕は特に素晴らしくて、若い時から浅草、上野の名店で、舌で覚えた絶品の味つけ。またまた、おしゃれも半端じゃない。若い時からモダンガールだったので、帽子に革靴を履いているような人だった。老いた今でもそのセンスは光っていて、どこに行っても「あら、素敵ですね」と声をかけられるので、お出かけが大好き。
そんな母を同居する前は尊敬していたが、同居してからは見る目が変わり、「自分のお金じゃないから高い洋服を買っても平気なのよ。あなたって浪費家ね。まあ、いい身分ですこと」といじわるな見方をするようになった。
更に、母の年金の額を知るともなく知ったときは、自分のわずかな国民年金と比べ卒倒しそうになった。
汗水たらして働いているわたしと、いい夫と結婚して一生安泰の母。わたしたち母娘は同じ女性でも真逆の人生。だから、話が合うわけがない。
*第8回に続きます。