美術品のようなグレちゃんシリーズ

 後ろの油絵は亡き父の作品。モデルはグレではなく、毎日、実家に顔を出しにきた隣の家の飼い猫、マック。グレはまだ生まれていなかった。

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 まるで置物。いつもこんな美しい置物を眺めていられるわたしは幸せだった。

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 後ろの絵は、わたしの作品。絵と本物の猫をこんな風に鑑賞できる美術館があったらいいな。

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 これもまた、後ろの絵はわたしの作品。グレーのロバは一目ぼれして買ったもの。グレーと白の配色がわたしは好きなのかしら。グレーのロバとグレちゃんがマッチしてます。

天国に旅立つ直前と、最後の時

 いつもの光景。わたしが毎晩見ていた光景。それなのに、その日は「写真に撮っておかないと」という気持ちになり、シャッターを切った。これが別れになるとは……。

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 亡骸を前に、グレちゃんの最期を描き留めておこうと筆をとる。グレの体の隅々をじっくりと観察しながら、グレの姿を心に刻む。グレとふたりの静かな時間が流れる。実は、亡くなってからスケッチブックを開けて見るのが怖かったが、今では、玄関に飾り、わたしの守り神になっている。(終)