治療以外にも、生活改善やマッサージなどが効果的

 こうした治療以外にも、実は生活改善や、マッサージやストレッチといったセルフケアでも予防効果や改善が期待できると久手堅先生。なぜならば気象病は自律神経と関係が深い症状。生活改善で身体のリズムを整え、マッサージやストレッチでほどよく身体を動かすことは、自律神経をいたわることになるからだ。

 気軽にできる生活改善としては、

(1)早寝早起き(朝起きられない人におすすめ。いつもより1時間早く寝て、1時間早起きして身体を動かす)
(2)頭と耳のマッサージ(下記参照)
(3)背筋を伸ばす(動悸や息が苦しいときにおすすめ)
(4)パソコンやスマホの使用は控えめに。連続使用は1時間までにする(首・肩こり、ストレートネックの予防)
(5)身体を動かす(ラジオ体操などもおすすめ)
(6)入浴(38~40℃のややぬるめのお湯に10~15分しっかりつかって身体を温める)

 などがいい。特に(2)の頭と耳のマッサージは、ぜひ試してほしい予防法のひとつだという。

「どんな生活をしている人でも、身体には負担がかかっているものです。私は普段、パソコンを正面に、患者さんには左側に来ていただいて診察しています。つまりは身体を常に左(患者側)に向けているわけで、私自身は身体の左側に負担をかけているわけです。このように、どんな人にも身体を改善する余地があります」(久手堅先生)

 こうした身体の改善策こそが、生活改善やマッサージにあたる。そしてこれらは、気軽に、根気よく続けることが大切と久手堅先生。そこで、先生おすすめのマッサージを2種紹介。「トイレに行ったらついでに必ずやる」など習慣化して、まずは2週間続けることを目標にトライしてみてよう。

空いた時間にすぐできる! 習慣化したい「頭と耳のマッサージ」

 頭部や耳まわりのこりは、脳の血流不良を引き起こす。血流不足から来る脳の酸素量不足は、食いしばりによる「こり」など、さまざまな不調の原因に。

■頭部のマッサージ■

(1)頭皮

 頭全体をつかむようにして、軽くもんだり叩(たた)いたりしてほぐす。

頭皮のマッサージ(誠文堂新光社刊『気象病ハンドブック』より)

(2)目のまわり

 目をつぶり、まぶたの上を2~4本の指で30秒程度軽く押す。

目のまわりのマッサージ(誠文堂新光社刊『気象病ハンドブック』より)

(3)こめかみ

 痛いところを2本指で30秒程度軽く押す。

こめかみのマッサージ(誠文堂新光社刊『気象病ハンドブック』より)

■耳のマッサージ■

(1)耳水平伸ばし&斜め引っ張り

 耳を持って10秒ほど水平に伸ばしたら、斜めに引っ張り上げる。逆方向も同様に行う。

耳水平伸ばし&斜め引っ張り(誠文堂新光社刊『気象病ハンドブック』より)

(2)耳まわし

 耳たぶを持って前方向に5回、後ろ方向に5回、ゆっくりとまわす。

耳まわし(誠文堂新光社刊『気象病ハンドブック』より)