アプリ「頭痛ーる」を使いながら、身体のメンテナンスを

 さて、気象病持ちさんに、久手堅先生が「ぜひ!」とインストールをすすめるアプリがある。それこそが「頭痛ーる」だ。

 これは気候の変化による気圧の変動をプッシュ通知で教えてくれるアプリのこと。iPhoneユーザーなら「AppStore」、Androidユーザーなら「Google Play」からインストールすることができ、所在地を入力すれば、気象病による体調悪化が起きそうな日時を爆弾マーク付きで教えてくれるほか、痛みや服薬の記録もできる。このアプリを使うことで、気圧の変化とともにやってくるであろうさまざまな症状に備えることができるのだ。

頭痛ーるのアプリ画面。気圧の変化を予報する気圧グラフ(左)、全国の気圧と天気予報のチェックができる全国マップ(右)などのメニューがある

例えば明日の朝、大事な用があるけれど、『頭痛ーる』の予報によると相当、天気も悪い……というとき。そうなったら1時間早く起きてストレッチや体操をしたり、薬を飲むなどして備えることができます」(久手堅先生)

 加えて、先に紹介した運動習慣やマッサージなどのセルフケアを行うようにすれば、症状を軽減することができるだろう。

例えば根本原因となっているのが首・肩こりからの頭痛でしたら、こりさえ治せば気象病を寛解させるのはそれほど難しくないんです。10人のうち1~2人は寛解するし、運動習慣などのメンテナンスを続ければ、さらに相当数の患者さんが寛解したり、薬の量を減らすことが可能な病気なのです」(久手堅先生)

 車もメンテナンスのあるなしでは、持ちが大きく異なる。人間の身体も同じだ。いつまでも愛車で快適に走りたいのなら、部品のチェックやワックスがけが欠かせないように、人間も健康に過ごしたいのなら、身体にも日ごろのメンテナンスが欠かせない。

気象病では、いきなり頑張って大変なエクササイズをやるよりも、簡単な運動やマッサージを気長に、根気よく続けることが大切です。そして、“今日は体調がいい”と感じる日を積み重ねていくようにしていってください」(久手堅先生)

(取材・文/千羽ひとみ)

久手堅司=著『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社刊)※記事中の画像をクリックするとAmazonの紹介ページにジャンプします

〈PROFILE〉
久手堅司先生
せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。気圧予報・体調管理アプリ「頭痛ーる」監修医師。「自律神経失調症外来」などの特殊外来を立ち上げ、「気象病・天気病外来」などの特殊外来では、これまで5000名以上を診察。著書に『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)、『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング)、『毎日がラクになる!自律神経が整う本』(宝島社)など。