絵を描いている時間は、自分の心のケアにもなっている

──先ほども「絵を描いている時間が幸せ」とおっしゃっていましたが、12月2日から7日まで初めてのイラスト展『December Illustrations』が開催されています。色使いがとてもキレイで、ワクワクさせるような素敵な世界観に惹(ひ)かれるファンの方も多くいます。

「嬉しいです、ありがとうございます。本当は去年、開催する予定だったんですけど、コロナ禍ということもあり見送っていたんです。今年もできるかどうか危ぶまれていましたが、無事に行うことができました」

12月をテーマにした描き下ろしイラストなど36点を展示。会場内ではポストカードの販売も 撮影/佐藤靖彦

──3〜4歳のころ、お母さまが読み聞かせてくれた絵本の挿絵が大好きで、そこから絵を描くようになったそうですね。

今は水彩画で描くことが多いですが、当時はクレヨンを使って紙芝居を作ったり、紙で作った着せ替え人形を描いたりして遊んでましたね

──イラスト展が開催されて、今の気持ちはいかがですか?

「イラスト展のお話をいただいたときはびっくりしましたけど、みなさんに見ていただけるのは嬉しいです。会場も麻布十番の素敵なギャラリーで、“こんな素晴らしいところでできるなんて”ってすごく感激しています。実は16歳のとき、家族と日本に来て最初に住んだ街が麻布十番だったんですよ」

──小さいころからなじみのある場所で、初めてのイラスト展が開けたことは感慨深いですね。

「あらためて、やっぱりこの街の雰囲気が好きだなって思いましたね。豆菓子屋さんやベーカリー、和菓子屋さんなど昔からやっている老舗店があったり、新しいお店もあって、いろいろな国籍の方たちが行き来していて、活気があるんですよね。都会なのにちょっと下町っぽい匂いもあって、すごく好きな街です」

──イラスト展は選りすぐりの36点が展示されているそうですが、イラストからは「ぬくもり」「優しさ」「希望」「勇気」「幸せ」などが伝わってきます。絵を描かれるときは、どんなことを思いながら描いているんですか?

「本当に何も考えないですね(笑)。絵を描いていて好きなのは、“無”になれること。だから、気づいたら何時間も絵の前に座っていることもあって。絵を描いているときは、何にもとらわれない時間なので、自分の心のケアにもなっています」

──ご主人とケンカしたときや、嫌なことがあったときに絵を描くと、気持ちが楽になるとか?

「いや、それは別(笑)。そういうときは掃除がいいんですよ。窓を拭いたり、引き出しの中の物を出して、ひとつずつ拭いてまたキレイに並べるとすっきりします。ムシャクシャしたときは、身体を動かしたほうがいいのよ(笑)」

「イラスト展の感想を教えていただけたら嬉しいです」と微笑むアンナさん 撮影/佐藤靖彦