成果が欲しいのなら「長い目で見て楽しみながらほどほどに」
では、どうすればオーバートレーニング症候群に陥らないで運動を続けることができるのか?
「アスリートも一般人も、トレーニングをするとすぐに競技パフォーマンスが上がり、体力がついてスリムになると考えがち。ですがこれは間違いです。前述したように、体力は筋肉が傷つくことで上がっていきます。つまりは負荷がなければ体力は上がらないわけですが、どのくらいが最適な負荷であるかには、個人によって差があるのです」(長崎先生)
1階から2階に行くには階段を1歩1歩上らなければたどり着けないように、アスリートも、健康やスリムな身体が欲しい一般人も、まずは1段階段を上るところから始め、それを積み重ねていくしかないと長崎先生。そしてその一歩も、歩幅(レベル)は個人によって異なるのだ。
「例えば運動がまったくの初心者や高齢者だったら、最初は遊ぶ感覚で始めてみることです。やりすぎてはダメ。“これで帰ってしまっていいの!? これじゃあ運動になってないんじゃない?”ぐらいで十分なのです」(長崎先生)
そんな状態を1週間ほど続けたら、ほんのちょっとだけ負荷を加えてみよう。ダンベルだったら500グラムから1キロもあれば十分。トレッドミル(ランニングマシーン)だったら、ぶらぶら散歩する程度の速度で構わない。
そして500グラムから1キロのダンベルが重いと感じないようになり、ぶらぶら歩きが物足りなくなってきたら、またほんのちょっとだけ、負荷を上げてみよう。
「これを続けていくと、着実に体力が上がって行きます」(長崎先生)
オーバートレーニング症候群を招かない正しいトレーニングでの健康づくりや体力向上には、月単位の時間がかかるものなのだ。