フィットネス上級者はインターバルトレーニングを
健康のための軽いジョギングに慣れると、本格的なランニングに進みたくなり、ランニングができるようになるとマラソンに挑戦したくなり、さらにはもっと速く走れるようになりたいと思うのが人の常。
実は長崎先生、循環器専門医として以前より有酸素運動の効能に着目していた。それもあって、40代の中ごろにはトライアスロン(スイム1.5キロメートル、バイク40キロ、ラン10キロの計51.5キロのタイムを競う競技)に挑戦していた過去がある。
「私自身がトライアスロンにハマったことがあるので、もっと距離を走りたい、もっと速く走りたいという気持ちは十分に理解できます。一方でケガや身体の故障に遭い、弊害も経験しました。
向上心は進歩につながることもあれば、私のように落とし穴にハマる場合もある。ケガや故障を招かないためにも、上級者のトレーニングは工夫が必要です」(長崎先生)
長崎先生は白筋を鍛えたい上級者や長い距離を速く走りたい人には、インターバルトレーニングを推薦する。インターバルトレーニングとは、負荷の強い運動と弱い運動を交互に行うトレーニングのことだ。
「例えば速く、長く走りたいのなら、1分間早く走ったら、そのあと数分はゆっくりと歩く。これを何回も繰り返す。そうすると、白筋と赤筋の両方が育ちます。
インターバルトレーニングで避けるべきは、負荷の強いトレーニングをした後に休んでしまうこと。ゆっくりでも歩いているときには赤筋が鍛えられているんですが、実はこのとき、赤筋に接している白筋の疲れを洗い流してくれているんです。歩きを省くと、疲れが取れにくくなってしまう」(長崎先生)
このインターバルトレーニング、実施するならスケジュールもインターバルで。筋肉の回復は、トレーニングの負荷が高ければ高いほど時間がかかる。トレーニングはそれを考慮して日程を組もう。
「ベストは『強・弱・弱・強・弱・弱・休み』。月曜に負荷の高いトレーニングを行ったら、次の高負荷のトレーニングを行うのは3日後の木曜日に。1週間に1日は完全オフがあるスケジュールです」(長崎先生)
オフがあるとないとでは、筋肉の回復は大違い。「急がば回れ」はトレーニングでも同じ。オーバートレーニング症候群に陥らないためにも、適度に休みを取り入れながらのトレーニングを続けるようにしよう。