教員が仕事よりも大切にすべきものは?
田中まさおさんがこの日の会見で強調して語ったのは、「教員も家庭を大切にしなければいけない」ということでした。
「今から4年半くらい前、埼玉県で退職前のたったひとりの教員が裁判に訴えました。“結婚はできるけど子どもはつくれない。子育てはできないんですよ”。一緒に学年を組んだ若い教員のひと言が痛烈でした。今の教員の異常な働き方を次世代の教員に引き継いではいけない。私たちの世代で終わりにしたい。田中まさお裁判の始まりでした」
裁判の効果もあり、教員の働き方の実態は以前よりも世の中に知られるようになりました。しかし今も、「たくさんの教員とその家族が不満を抱えている」と田中さんは指摘します。
「つい最近、私のところに、教員の家族の方からメールが届きました。その方は主婦ですが、0才児の赤ちゃんがいるそうです。それにもかかわらず旦那さんは、今年の4月から教務主任と6年の担任を兼務するそうです」
若い教員が忙しすぎて子育てができない現状に対して、田中さんは憤りを覚えています。
「人間にとって命の次に大切なのが家族です。ひとりで裁判を起こしたときも、家族が助けてくれました。どんなことがあっても家族は味方してくれます。教員たちの仕事も家族優先にしなくてはいけないのです。
教員だけでなく、日本の労働者にとって、働くということの意味は何なのか。労働基準法で1日の労働時間が8時間と決められているのはなぜなのか。この裁判は自分たちの生活を守るためだと思っています。第2次訴訟では、そういう田中まさお裁判の考え方に賛同してくれる方を募集します」
筆者は田中まさおさんの新しいチャレンジを見守っていきたいと思います。
(取材・文/牧内昇平)
※原告公募の詳細は4月23日に「田中まさお支援事務局」のTwitterで公開予定です。
◎田中まさお支援事務局公式Twitter→https://twitter.com/1214cfs
◎著者・牧内昇平Twitter→https://twitter.com/makiuchi_shohei