春の暖かい日となった3月17日午後、天皇家の長女、愛子内親王殿下は、成年にあたっての記者会見に臨まれた。
愛子さまは若草色のワンピースに同色のショート丈ジャケット姿。ピンクパールのネックレスにおそろいのイヤリングをつけて、髪は後ろで一つに結っていた。実はこのゆるふわヘアは、母親の雅子皇后のアドバイスがあったといわれた。
「会見の前よりもサイドをほんの少し緩くなさって、若々しさを出されたそうです。化粧の艶感もメイクさんと相談して今風な艶感を出された。内親王殿下の会見は、成年皇族になられた時とご婚約の2回しかないということなので、皇后さまも気を配られたのではないでしょうか」(愛子さまのご学友の母)
愛子さまは会見の冒頭で、前日16日の深夜に最大震度6強を観測したという東北地方の地震に触れて、
「亡くなられた方がいらっしゃるとうかがいまして、心が痛んでおります。ご遺族の皆さまと被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます」と述べられた。
会見は約30分。事前に知らされている質問について、順番にお答えになった。テーブルの上に用意された紙には目を落とすことなく、言葉のひとつひとつを丁寧に話すご様子からは、貫禄さえ感じられた。
これまでの20年間を振り返られて、支えてくれた人々に謝意を示された。成年皇族となった心境については、改めて「身の引き締まる思い」とご発言。
緊迫が続くウクライナ情勢についての質問には、
「多くの尊い命が失われていることに、非常に心を痛めております」と語った。
ウクライナのゼレンスキー大統領とオレナ夫人は、陛下の『即位の礼』の晩餐会に出席のため来日、両陛下とお会いしている。
愛子さまは、国内外の関心ごととして、深刻化する自然災害への懸念も示された。言葉の重みから日常生活の中で両陛下と災害についての会話をなさっていることがうかがえた。
東日本大震災の復興支援に携わる友人を通じて「災害ボランティアなどのボランティアにも関心を持っております」と語り、盲導犬や聴導犬など働く動物たちにも「動物好きの私といたしましては、心惹(ひ)かれるものがございます」ともお話しになった。
愛子さまがご誕生された時から、ご自宅では捨てられていた犬を飼われていた。今でもご一家は犬や猫をはじめとした生き物を家族のように大切になさっている。さらに母親の雅子さまとセラピー犬の動物介在療法を見学なさったり、学習院女子中・高等科時代の文化祭では、盲導犬のイベントにもご参加なさってこられたりした。
ご性格や長所・短所については
「“どこでも寝られるところ”でしょうか」とユーモアを交えてお話になられた。これは、栃木県の那須の御用邸の縁側にあるソファで寝られてしまい、朝を迎えられた際のエピソード。
愛子さまが高校2年生の夏休みに短期留学のイートン校から戻られて、那須でご静養されたときだったという。
「愛子さまは着いたその日にお疲れになって、ソファで横になられたそうです。いつもなら両陛下が声をかけて起きるのでしょうが、この時は何度声をかけても起きなかったので、そのまま寝かせておきましょうということになったそうです。
愛子さまの学校生活も充実していたことからご安心なさって、子離れなさっていらっしゃるご様子だったといいます」(宮内庁関係者)
会見中、隣の部屋には雅子さまの姿も
会見での質問は、昨年10月にご結婚された小室眞子さんについても及んだ。
「幼い頃から、いつも変わらず明るく、優しく接していただいたことをありがたく思うとともに、従姉妹(いとこ)として、末永いお幸せをお祈りしております」
愛子さま自身の結婚観にも質問が及ぶと、「今まで意識したことはございません。理想のお相手については、一緒にいてお互いが笑顔になれるような関係が理想的ではないかと考えております」とはにかまれた。
このお言葉からは、両陛下のお姿が理想像として浮かばれたのではないだろうか。
事前に伝えられていない関連質問では、雅子さまが出産後に「生まれてきてくれてありがとう」と述べられた発言に対して、
「私も“生んでくれてありがとう”と伝えたいと思います。また、これまで両親にはさまざまな機会を与えていただいたり、私の成長を、愛情を持って温かく見守ってきていただいて、そして“これからもどうかお身体を大切に。これからも長く一緒に時間を過ごせますように”という言葉も添えたいと思います」
と両陛下への感謝を笑顔で表された。
質問内容は事前に両陛下も確認されるものだが、関連質問だけは当日に記者からされるため愛子さまがどのようにお答えになるかは分からない。
この会見が行われた「大広間」の隣の部屋では、雅子さまがそっと待機なさっていたという。愛子さまからの心からの感謝の言葉を遠くから耳にされて、母としての雅子さまは、どのように受け止められたのだろうか。
(取材・文/友納尚子)