96年の歴史をもち、スキンケア商品や、『マトメージュ』シリーズなどの多彩な商品を展開している株式会社ウテナ。そのなかでも、主力商品であるくせ毛用ブランドの『プロカリテ』は、ストレートパーマ市場においてトップシェアを誇ります。
(『プロカリテ』シリーズが、発売から30年たった今もなお、ロングセラー商品となっている秘密は、インタビュー#1で詳しく紹介しています→記事:10人中1人が熱烈なファンになるブランドに──くせ毛用ケアアイテム『プロカリテ』が愛され続ける理由)
その商品開発を担当しているのが現在、入社4年目のマーケティング部・大塚莉菜さん。入社と同時に『プロカリテ』に魅了され、自身もブランドのいちファンに。その情熱を見込まれ、翌年、同ブランドのマーケティング担当に抜擢されました。
公式Twitter(くせ子の日常@プロカリテ)の投稿からは、くせ毛に悩む人たちに寄り添う姿がうかがえ、心がほっこりと落ち着くのを感じます。インタビュー#2では、個性をより尊重する時代に合わせ、会社が変化している点や、進化し続ける魅力について、大塚さんにお話を伺いました。
どんなまとめ髪もキレイにできる、まとめ髪用のスタイリングシリーズ。中でも『前髪グルー』は、おでこに塗って前髪を貼り付けるという斬新な方法で、理想の前髪スタイルを固めずキープできるというアイデア商品。
入社してすぐエマルジョンの沼にハマった
──『プロカリテ』シリーズのファンだったとお聞きしました。入社以前から利用されていたのでしょうか。
大塚さん「プロカリテは、入社して初めて知りました(笑)。もともと化粧品が好きで、これまでにもいろんな商品を使っていたんですけど、プロカリテの『ヘアメンテナンス エマルジョン』(以下、『エマルジョン』)を使ったときにその使用感に魅了され、入社1年目の営業時代から“私、この商品をヘアケア市場ナンバーワンのアイテムにします!”と言っていたほどです。自慢じゃないですけど、『エマルジョン』については、先輩たちにも負けないぐらい、売上に貢献していたと思います(笑)」
──『エマルジョン』のどこが好きなのですか?
大塚さん「くせ毛用の洗い流さないヘアトリートメントで、質感はミルクタイプです。一般的には髪がまとまりやすいオイルが人気ですが、髪に合わないとごわついてしまう人もいます。その点、ミルクタイプは水分と油分が含まれていて、ごわつきを軽減し、髪を柔らかく導いてくれます。私も初めて使ったときには、水分の浸透感と柔らかな髪の仕上がりに感動しました。あと、さわやかな香りもリラックスできて心地よく、そこから沼にハマってしまいました(笑)」
──大塚さんの話を聞くと、『プロカリテ』に対する熱い想いを感じます。マーケティング担当として、印象に残っている仕事は何かありますか?
大塚さん「今年3月に、『エマルジョン』と『ヘアジュレ』をリニューアルし、『ヘアチューナー』を新たに発売しました。その際、この3アイテムのパッケージデザインを担当しました」
──どんな点にこだわったのでしょうか?
大塚さん「まずは、パッケージのレイアウトです。例えば、『エマルジョン』の“髪の質感変わる”という文字は、パッケージから少しはみ出るようなデザインにしています。この表現には“枠にとらわれずに、自由におしゃれを楽しんでほしい”という意味を込めました。また、プロカリテの『P』のロゴもリニューアルしました。もともとまっすぐで硬いイメージのデザインでしたが、今回は髪のしなやかさを表現するため、柔らかいロゴタイプに変更。情緒的に訴えかけるデザインに統一しました」
──実際、お客様の反応はいかがでしたか?
大塚さん「『ヘアジュレ』は朝のスタイリング前に、『エマルジョン』は夜のケアに使うセット商品です。そこで、この2つを統一感のあるデザインにリニューアル。それによって人気のあった『エマルジョン』と一緒に、『ヘアジュレ』も購入してくださるお客様が増えました。また口コミの数が以前よりも増え、ポジティブなコメントも多くなった印象です」
モノづくりで大切にしているポイントとは
──時代にマッチした形でプロモーションされていて、商品発売から30年以上の時を経ても、新鮮さを感じました。モノづくりで大切にしているポイントはなんですか?
大塚さん「今はくせ・うねりをケアする商品がものすごく多くなり、それによって、いろんなブランドを買い回りされるお客様が増えています。やはりこれは、お客様がどの商品を使っても納得されていないからだと思います。“お客様は何を求めていて、何が足りていないのか?”まずは、それを見つけるために、しっかりと観察して、分析しています。そしてもうひとつは、お客様が使ってワクワクするような商品づくりです。パッケージでもいいし、リラックスできる香りでもいい。この商品を使えば、“今日、一日気分が上がって楽しめる”そんな商品をつくること。そして、機能性や価格だけではなく“プロカリテだから、また買おう”と思ってくださるファンを、もっと増やしていきたいと思っています」
──そのためには、商品を実際につくる、研究所との連携も重要になってきますね。
大塚さん「やはりマーケティング部だけでは、よい商品を生み出せません。私たちが見つけてきたアイデアの種をどのように具現化していくか、研究スタッフと一緒になって考え、形にしていかなければなりません。研究所には、香りなどのサンプルも数多く置いてあるので、研究スタッフに、試験的にその場で商品をつくってもらうことも少なくありません」
──その他の部署ともやりとりはあるのでしょうか?
大塚さん「当社は部署間の連携が強いので、新たな商品につながりそうなヒントがあれば、決定事項でなくても、すぐに他部署に相談できます。人数が少ないからこそできるチームワークですね。100年近い歴史のある会社なので、製造会社や原料会社などさまざまなお取引先様とのお付き合いがあります。豊富なノウハウをもっている協力会社との関係性を大切にしながらこれまでやってきたことが、今の新商品の開発にも生かせていると思います」
“今しかできない、おしゃれを楽しみたい層”が増えてきた
──昨年より新型コロナウイルスの感染が拡大し、プロカリテの売上にも変化があったのではないでしょうか?
大塚さん「『エマルジョン』などのヘアケア商品の売上は、巣ごもり需要もあって非常に伸びました。一方、『ヘアジュレ』などのヘアスタイリング商品は、コロナ禍で一時期伸び悩んだこともありましたが、最近は盛り返しています。プロカリテのブランド全体の売上は、自社ヘアケア・ヘアメイクブランドのなかで、『マトメージュ』シリーズに続く、2番目のシェアを誇ります」
──コロナ禍も、早3年目。やはり外出する機会が増え、スタイリング剤などのニーズが高まってきたのでしょうか?
大塚さん「2021年に外出できない日々が続いた反動が、今来ていると思います。 “この年齢で経験できることは今しかない”それなら、“今できるおしゃれをもっと楽しみたい”といった意識が、お客様のなかで、ものすごく高まってきたように感じます。私もそのひとりです(笑)。それにマスクをしていると、口周りが隠れている分、ヘアスタイルが人に与える印象は大きいため、髪形にこだわる人は確実に増えていると思います」
想定外のニーズをいち早くつかみ、形にする
──マトメージュシリーズの『前髪グルー』といった、時代を先取りするような商品も次々と発売されています。その秘けつはどんなところにあるのでしょうか?
大塚さん「日頃からSNSの口コミ、店舗などでのユーザーの行動など、使用実態をつぶさに観察して、そこから新商品につながるヒントを得ています。例えば、当社の商品には『男性クリーム』という商品があります。この商品は、女性向けにつくられたスキンケア商品『バニシングクリーム』が、男性のひげそり後に使われていることがわかり、今から65年前に男性用として生み出されました。このように、私たちマーケターが通常考えもしなかった使われ方や新たなニーズを見つけ出し、日々新商品の開発に生かしています」
──プロカリテも、くせ毛だけでなく直毛の人も需要がありそうですね。
大塚さん「実は、口コミなどを見てみると、髪のうねりに悩んでいるのは、くせ毛の人だけではありません。直毛の人でも、“外出したらすぐ崩れてしまう“とか“髪が硬くてセットしづらい“、“ダメージで髪がはねる”という悩みがあります。プロカリテは、そんな悩みも解決できる商品なので、直毛の人にも、おすすめですね!」
・プロカリテ公式サイト:https://www.utena.co.jp/products/brand/proqualite/
・マトメージュ公式サイト:https://www.utena.co.jp/matomage/
(取材・文/西谷忠和、編集/本間美帆)