1986年、39歳でのデビューから現在まで「ひとりの生き方」をテーマに、多くの著書を発表してきたノンフィクション作家の松原惇子さん。松原さんが愛してやまない猫たちとの思い出と、猫から学んだあれこれをつづる連載エッセイ『グレ日記』が、前回で惜しまれつつ最終回を迎えました。
今回は子猫の頃から14歳で天国に旅立つまで、グレちゃんの軌跡を写真でプレイバック。未公開写真も含め、松原さんの思い出コメントとともにお届けします!
総集編
キュートすぎる! 子猫の頃
親を知らないグレちゃんは、初めてのおうちで、どこか不安そう。
ソファの隙間でリラックス。中国雑技団より体がぐにゃぐにゃよ。動物の中でも、猫は柔軟性、断トツだ。
おとなしいかと思っていたら、だんだん野生の本能がむきだしに。棒も噛むけど、マミーも噛まれっぱなし。でも、「噛まれても好きな人」それが猫よね。
海外旅行で見つけた猫のクッションに寄り添うグレ。外国の猫のデザインって、しゃれているから好きだわ。グレちゃんも気に入っているよう。いや、どうでもいいのかもね。
グレちゃんとの日常
グレちゃんとマミーの誕生日を祝う。幸せな二人。懐かしくて涙が出るわ。
机の上が大好き。邪魔するのが大好き。でも、許してしまう。やっぱりグレは、丸々でかわいいなあ。
わあお。いつからそんなに態度が大きくなったの!!! 帰宅すると、「おまえ、どこ行っていたんだ」とおやじ顔。
何を考えているのかわからないけど、いてくれるだけで幸せ。
おなかが大きいのは、生まれたときから。たぶん、内臓が弱いのだと思う。母親のおっぱいを飲んだことがないので。でも、元気ならいい。
わあお、グレはしっぽまでゴージャス。親バカかもしれないけど、美しい。
こんなところ入らないで! シカトしているのが猫らしくて、マミーは怒れない。
グレちゃんの居場所は押入れの天袋。狭くて暗いところが落ち着くのね。引っ越しのときは、引きずり下ろすのが大変だったわ。可哀想だけどあのときは、しかたがなかった。ごめんね。
これは最高のショット!! 美しいグレちゃん!!
仕事の邪魔をするグレちゃん。でも、こんな時間がいいのよね。今は、邪魔する人がいないので寂しい。
美術品のようなグレちゃんシリーズ
後ろの油絵は亡き父の作品。モデルはグレではなく、毎日、実家に顔を出しにきた隣の家の飼い猫、マック。グレはまだ生まれていなかった。
まるで置物。いつもこんな美しい置物を眺めていられるわたしは幸せだった。
後ろの絵は、わたしの作品。絵と本物の猫をこんな風に鑑賞できる美術館があったらいいな。
これもまた、後ろの絵はわたしの作品。グレーのロバは一目ぼれして買ったもの。グレーと白の配色がわたしは好きなのかしら。グレーのロバとグレちゃんがマッチしてます。
天国に旅立つ直前と、最後の時
いつもの光景。わたしが毎晩見ていた光景。それなのに、その日は「写真に撮っておかないと」という気持ちになり、シャッターを切った。これが別れになるとは……。
亡骸を前に、グレちゃんの最期を描き留めておこうと筆をとる。グレの体の隅々をじっくりと観察しながら、グレの姿を心に刻む。グレとふたりの静かな時間が流れる。実は、亡くなってからスケッチブックを開けて見るのが怖かったが、今では、玄関に飾り、わたしの守り神になっている。(終)