ヨーグルトの魅力と不思議な力を探るシリーズも4回目を迎えました。シリーズ最終話では、株式会社明治の辻さん、古川さん、田中さんに、ヨーグルトのプロならではの“アレンジ方法”を教えていただきます。
◎第2回:【ヨーグルト#2】時代のトレンドはダイバーシティ。ヨーグルトの世界でも、乳酸菌の多様性がおいしさを決めていた
◎第3回:【ヨーグルト#3】おなかの調子を維持するなら、4日で1箱(400g)を食べきるペースで
プロが直伝するアレンジは、“漬ける・置き換える・かける”が基本!
──いまでは当たり前のようになっていますが、家庭で作るカレーにヨーグルトをちょっと入れると聞いたときはビックリしたのを覚えています。ヨーグルトは奥が深い食品ですが、ヨーグルトを使ったアレンジも奥が深そうですね?
田中「私たちがご提案するアレンジは、“漬ける・置き換える・かける”が基本です」
──漬ける、置き換える、かける……、ですか?
田中「はい。お使いいただくのはプレーンヨーグルトですが、最初の“漬ける”は、肉や魚をヨーグルトに漬け込んでいただくアレンジです。肉や魚をヨーグルトに漬け込むと、しっとりした柔らかい食感が保たれて、臭みも抜けやすくなるんです」
──臭みを抜くのに、肉はリンゴやパイナップルに漬け込むとか、魚もお酒に漬け込んだり塩を振ったりすると聞いたことがありますが、ヨーグルトに漬け込んでもいいんですか?
古川「はい。乳酸菌が乳酸を出して発酵する際、原料になる生乳が酸性に傾くように、ヨーグルトに漬け込んだ肉や魚も酸性に傾いて水分を保ちやすくなります。下ごしらえとは違いますが、ヨーグルトにドライマンゴーを漬け込むとフルフルになることも、数年前に話題になりましたね」
──“置き換える”というのはどんなアレンジですか?
田中「調味料やドレッシングの代わりにヨーグルトを使っていただくアレンジです。マヨネーズや生クリームなどの代わりにヨーグルトをお使いいただくようなレシピを“置き換える”と言っています」
──具体的にはどのような調理方法が……?
田中「例えばポテトサラダですね。ポテトサラダを作るときに、マヨネーズで和えていたぶんの分量を減らしてヨーグルトに置き換えると、カロリーを抑えることができます。また、ヨーグルトの酸味は塩味を補う効果があるので、少ない調味料でも物足りなさを感じにくく、減塩につながります」
──カロリーを抑えるだけでなく減塩効果もある。それでいてヨーグルトの酸味が塩味を補っているから、調味料をヨーグルトに置き換えるだけで一石三鳥の働きをすることになりますね。では、3つめの“かける”は?
辻「先ほど、ご家庭で作るカレーにヨーグルトをちょっと加えるアレンジはご存じと言われましたが、わたしたちのお勧めは、いただく直前のカレーにヨーグルトを“かける”食べ方です。ご飯の上にカレーをかけて、その上にお好みでヨーグルトをかけます」
──酸味がダイレクトに伝わるからおいしそうですね。いかにもヨーグルトが好きな人の食べ方という感じがします。
辻「そうですね。召し上がる直前のカレーにかけたり、おみそ汁の仕上げにヨーグルトを加えたりすると、まろやかな風味がプラスされておいしいんですよ。特にヨーグルトとおみそはどちらも発酵食品なので、組み合わせたときの相性もバツグンです。このアレンジはわたしのイチ押しです」
──みそ汁にヨーグルトですか? 想像がつきませんが……。
田中「このアレンジを紹介すると驚かれる方も多いのですが、みそ汁のコクやうまみがアップするんです。みそ汁2人分なら、大さじ2杯が目安です。
それと、取り組みはこれからになりますが、野菜とヨーグルトを一緒に取る新しい食事シーンも提案していきたいと思っています。最新の研究では、野菜に含まれるβカロテンやリコピン、ルテインなど、抗酸化作用をもつと言われる“カロテノイド”の吸収をヨーグルトが促進することも明らかになったからです」
──野菜だけを食べるより、ヨーグルトと一緒に食べたほうが効果的ということですね。
古川「はい。わたしたちの研究でも、野菜とヨーグルトは一緒に摂取したほうがカロテノイドは吸収されやすいというデータも出ています」