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「1日1フム」生活。- フムフムニュース -
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埼玉県内のとある小学校で教える「田中まさお」さん(仮名)。全国の先生たちの“働きすぎ状態”を変えるため、たったひとりで裁判を起こしたことで大きな注目を集めています。でも、田中さんの本当の活躍の場は「法廷」ではありません。「教室」です。教員生活40年、教え子の数は約1000人。ベテラン先生がいま、伝えたいメッセージとは……。

社会

「教員の1日8時間労働の実現を」残業代裁判を起こした田中まさおさんが進める“働き方改革”とは

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教室の黒板に文字を書き入れる田中まさおさん=筆者撮影
目次
  • 公平委員会に現状の改善を申し立てた
  • 1日約2時間、自校の教員の労働時間を短縮
  • 休憩時間を意識して「休む」雰囲気づくり
  • 働き方が変わる? 全国の教員のみなさんもトライを
  • 世の中全体で「教員の担うべき仕事」を考えよう

「教員にも残業代を!」と裁判を起こしたものの、2023年3月上旬、敗訴が決定した田中まさおさん(仮名)。同月末の記者会見では「第2次訴訟」にチャレンジすると宣言しましたが、実は裁判以外でも時間外労働を減らす活動を続けています。勤務先の小学校では地道な努力を積み重ね、教員全体の働く時間を少しずつ短くしているそうです。目標の「1日8時間労働」は実現できるのか。田中さんに聞きました。(聞き書き/牧内昇平)

(田中さんが立ち上がったわけや裁判を始めた経緯はプロローグ記事で詳しくお伝えしています→【教員の残業代裁判#0】小学校3割超、中学は約6割の先生が過労死ライン超え! 現状を変えるべく立ち上がった「田中まさお」さんとは

公平委員会に現状の改善を申し立てた

 2019年4月に新しい学校に赴任しました。最初の1年間は学校の様子を知るだけで精いっぱいでしたが、何とかして時間外勤務を減らしたいと思い、翌'20年3月にはアクションを起こすことにしました。

 誰に言えばいいのか。校長や教育委員会に言っても、首を横に振られたらおしまいです。そこで私は、地元の市役所に訴えに行くことにしました。現役の教員が行政に訴えるのは容易なことではありません。相当な覚悟が必要です。私はそれでも自分の勉強だと思って決心しました。

 市役所で紹介されたのは、「公平委員会」でした。私たち地方公務員が困っていることを解決してくれる場です。私の申し立てを公平委員が審査し、担当者が教育委員会と交渉してくれるとのことでした。

 私が公平委員会に要望したのは以下の4点です。細かくなりますが、現場の教員の方々には参考になる点もあると思います。

【田中まさおさんが公平委員会に求めたこと】

1.勤務時間外に行われる「登校指導」と「校庭のライン引き」はやめさせてほしい。

2.教職員の勤務開始時刻を8時にするか、児童の登校時刻を8時30分にしてほしい。

3.教職員の休憩時間には全体にかかわる仕事を入れないでほしい。

4.教員の仕事を明確にしてほしい。

【2】は少し説明が必要でしょう。私が勤務していた学校では、教職員の出勤時刻は8時30分で、児童の登校時刻は8時でした。教員は子どもたちの登校に合わせて出勤するので、結局は大半の教員が7時30分ごろに出勤していました。これではどうしても時間外勤務が発生してしまいます。

 時間外勤務を解消するために、児童の登校時刻と教職員の出勤時刻を合わせるべきだと考えたのです(当然、出勤時刻が30分早まった場合、退勤時刻も30分早くすべきです)。

【3】の目的は休憩時間の確保です。もともと教員は1日の勤務時間の中に45分間の休憩時間が設定されています。私の勤務先では午前10時半から10時45分の15分間と、午後は放課後の30分間でした。この休憩時間を教員たちが自由に過ごせるようにしたかったのです。

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