まー今回は結果「無駄な時間」がテーマになっちゃったね。無駄は効率よく省きたいよね。だから、この文章も察しのいい人なら、全部読まずに「目次」だけ目を通せば、それで十分理解できると思います。そっちのほうが時短になるしね。でも、これを最後に書いてちゃ意味ないし不親切だから、この段落を冒頭に移動させよう。
僕も世の中も、どんどんせっかちになっているのかね〜
どうも、パソコンで間違ってタイピングしたから消して打ち直したのに、また同じ指の動きをして間違えちゃうつぶやきです。落ち着いてやればいいのに、急いでいるときとか、せっかちになっちゃうよね。
今は、曲のイントロが長いと嫌われるらしいね。すぐに歌って! 歌詞が聞きたい! ってことかね? AVも前は冒頭で女優さんが将来の夢とかを語ってたけど、今はあまり見かけなくなったもんね。
今に始まったことじゃないだろうけど、世の中さらにせっかちになっているのかね。僕はテレビとかオンタイムではほぼ見ないかな。かといってYouTubeは見ないんだけど、今年Tver(民放テレビ局が提供するテレビ番組や動画コンテンツの無料見逃し配信サービス)を覚えてね。常に1.75倍速で見てる。時間短縮にいいね。だいたい2つのデバイスでTverを開いておいて、どちらかでCMが流れてきたら、もうひとつの画面のほうを見るという感じでかけ持ちしているから、要領よく情報を処理できる。これに慣れるとどうなるか・・・通常速度で見ているときに、時間を無駄にしているという罪悪感が生まれるようになるんだよね。
関係者に言うと悪いので直接は言わないけど、映画やドラマも倍速で見ている。しかも、セリフもなく重要なシーンでもないなら、ちょいちょい10秒早送りボタンを押しながら見ている。「そんな見方をする人には、映画やドラマのよさはわからない」って怒られちゃうよね。だから表立っては言わないけど、自分と同じく映画やドラマを倍速で見ている人と出会うと「だよね~」ってホッとする。サッカーワールドカップを見てないって人と出会ったくらいホッとする。
でも倍速にすることで、逆に集中しないとわからなくなるからね。早口を理解しようと頭の回転も鍛えられているし、決められた時間内により多くのものが見られていいと思う。なんだろ、楽しもうというより、仕事と思って見るからかな。悲しいね。仮歯で2年過ごすくらい。もちろんバラエティー番組も倍速。出演者のトークのテンポがよく、「みんなすごいな、この中に入れないよ」と自信をなくすというマイナス面もあるけどね。
お風呂をためる時間、新幹線のチケットを買う時間に思うこと
時間がもったいないって、貧乏性なのかな。お風呂をためているあいだの時間って、もったいなくない? その10分間くらいだけ運動するとかTwitterに投稿するとか、どうせ今から身体を洗うんだからと、裸になって汚いところを掃除したりするね。その勢いがないと面倒でやらないことをやるね。
山手線の駅の『みどりの窓口』で、今から乗る東京駅発の新幹線のチケットを購入するとき、ギリ乗れそうなのがあったとする。東京駅までの山手線の時間もそうだけど、今ここでのやり取りしてチケットを受け取ってホームに走ることを考えて、駅員さんに「次の電車、何分ですか?」って聞いたら「山手線なんて3、4分おきに出てますから」って、その3、4分が問題なの! 致命的になるの! 山手線にも時刻表があるのに何で教えてくれなかったんだろう? 自分で調べればいいのか。このルートでの乗り換えがいちばん早く目的地に着くとか、もっとも安く行けるとかを考えるのが好きじゃないタイプの駅員さんもいるからね。あんまり言わないほうがいいな。
秒刻みでさまざまな事情が変わってくる。だけど・・・
それくらい効率よく行動したい僕は、「秒」が見たい。家を出た瞬間、携帯で時間を確かめる。でも僕の携帯は何時何分までしか表示されない。例えば朝8時59分だったとき、なりたてほやほやの59分なのか、限りなく9時に近い、残り寿命の短い59分なのかで全然違うと思わない? 約1分違うんだよ。駅まで5分の家だったら歩くスピードが変わってくるよね。見た1秒後に「分」が変わったりするわけで、だからって、携帯を5秒おきに見てもなかなか変わらず、なりたての「分」だったのかとイライラすることもあったり、自分でも「なんだこの性格」って思っちゃう。誰か同じ人いないかな~。
長い信号とか、フルで何秒待たされるんだろうって計りたくならない? ストップウォッチ機能で計ればって言うんでしょ? それはめんどくさいのよ。信号赤で止まって、パッと携帯見て、信号が青になったらまた携帯をパッと見て、計算して75秒か~ってやりたいの。どうやっても携帯に秒まで表記されないのよ。そこまで言うんだったら腕時計すればって言うんでしょ? そこまで時間に縛られたくないのよ。どんな腕時計をしようか考えるのもめんどくさいね。女性って、すぐ相手の腕時計を見てどれだけお金を持っているか値踏みするんでしょ? それに、ベルトの穴がきついからって1個ずらすと、ゆるゆるでちょうどいい穴がなかったりするし・・・こんなこと考えているほうが時間の無駄だね。
そんな秒にこだわって、せっかちにもかかわらず、意外とボーッとして無駄な時間を過ごしているからね。洗濯中に何かすればいいのに、洗濯機の中をずっと見ちゃう。汚れが落ちてく様がいいんだよね。水が汚れていないとなんか物足りないというか残念な気持ちになるの不思議ね。電子レンジで温めてるときも、ほかのことをすればいいのに、ブリトーの袋がパンパンにふくらんでく様子を見守ってるよね。見とかないと、温めたのを忘れて翌日、電子レンジを使うときに開けてビックリってことがあるからね。
イラストは、そのブリトー。昔からネタで使わせてもらってるけど最近食べてないな~。「温めすぎて支えの段ボールも熱さにやられて、おんぶされながら寝ちゃった赤ちゃんみたいにしなっちゃって手でコントロールできなくて食べづらいブリトー」という題名です。「何だこの絵」って思ったでしょ、相変わらず絵がヘタでごめんね。メリークリスマス。
連載開始は今年6月からでしたが、ありがとうございました。みなさんにとって来年が、いい年でありますように。
(文・絵/つぶやきシロー)
【PROFILE】
つぶやきシロー ◎1971年3月10日、栃木県生まれ。お笑いタレントや俳優として活動するかたわら、2011年からは小説も執筆。2021年には、著書『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館刊)が安田顕主演で映画化された。2022年4月、新著『こんな人いるよねぇ~──本を読んでつぶやいた』(自由国民社刊)を上梓。また、2009年から公式Twitterでほぼ毎日「あるあるネタ」をつぶやき続けて大人気に。フォロワー数は103万人を超える。(2022年11月現在)
公式Twitter→@shiro_tsubuyaki