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【声のお仕事】山路和弘さん#4「ソン・ガンホは、あっという間に“腐った魚の目”ができる役者になった」

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山路和弘さん 撮影/山田智絵
目次
  • ソン・ガンホ、いかりや長介、ビートたけしに共通している演技力
  • ソン・ガンホを吹き替えるときは、彼の口元しか見ない
  • 台本を保管しておけないくらい仕事量が増えた
  • 字幕映画にはなくて、吹き替え版にはある映画の楽しみ方

『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』など、アニメ作品の劇場版が立て続けにヒットを飛ばしています。そして、作品に負けない人気を誇るのが、登場人物たちの“声”を担当する声優です。洋画に日本語の声を当てる“吹き替え”も、声優の大事な仕事の1つ。ベテランになると、ほとんど専任のようなかたちでハリウッド俳優の声を担当します。

 山路和弘さんも、そんな声優の1人です。インタビュー第4回は、山路さんが吹き替えを担当するソン・ガンホのお話を伺います。

山路和弘さん#1「ジェイソン・ステイサムみたいな男って、どうしてモテるんだろうね」
山路和弘さん#2「ヒュー・ジャックマン本人のアフレコ映像を見たとき、心の中で謝ったよ」
山路和弘さん#3「ラッセル・クロウのアクションは、ナタでバッサバッサと殴り倒す感じかな」

ソン・ガンホ、いかりや長介、ビートたけしに共通している演技力

──ソン・ガンホは韓国を代表する実力派俳優ですよね。

『シュリ』(1999年製作)のイ・ジャンギルの吹き替えを担当したのが最初だと思いますが、当時は普通の若い俳優という印象でした。それが『大統領の理髪師』(2004年製作)をやったときには加速度的に素晴らしい役者になっていました。“あ、痛たたた。先を行かれちゃった。追っかけなきゃならないよ”と困った覚えがあります

──どのようなところで、そんなふうにお感じになられたんですか?

「とりたてて教養があるわけでもない、街なかのどこにでもいる理髪師を演じたソン・ガンホの深みと言えばいいかな。ぼくが抱いていたレベルの3~4段は上に行っていました。表情を切り落とせるようになって、“腐った魚の眼”ができる役者になっていたんです

──“腐った魚の眼”?

「むかしから、うまい役者をそういうふうに表現するんです。すべての演技を眼に落としていくと言うんですかね。瞳の深いところに喜びや悲しみといった感情が見える……みたいな。若い頃は“何を言ってんのかな”という感じでしたが、ぼくもそれなりの経験を積んで、“なるほど”と思えるようになりました。

 日本人で言うと、亡くなったいかりや長介さんがそういう眼をすることができました。あとは、(北野)たけしさんですね

──世界のキタノですか。お二人ともお笑いで名をはせ、俳優業もされるようになりました。何か共通する点があるのでしょうか?

「長さんとたけしさんは、“ツッコミ”が主な役割でした。ツッコミって、ボケが顔芸やオーバーなアクションをしているところへ、“おまえ、それは違うよ”と表情を変えずにボソッというバリエーションがあるじゃないですか。そういうことを数多く経験してきた人が深い役者さんになっていくのかもしれませんね。

 ぼくも表情を消そうとした時期がありました。でも、ものすごく難しくてうまくいかないんですよ。だから、“腐った魚の目”ができる役者には憧れますね

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