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恋愛・婚活

【二村ヒトシの恋愛相談#4】「12年前の元カレを超える人がいない」と嘆く30代女性に恋愛のプロが突きつけた“真実”とは

SNSでの感想
※写真はイメージです
目次
  • 「元カレを超える人がいない」は自分が作り出してしまった“信念”
  • つきあう相手とは「対話」が必要。“恋愛ごっこ”で終わらないためには
  • 人間が恋愛をするのはきっと、「自分のことを知るため」

 酒の席でいちばん盛り上がるのは、もしかしたら他人の恋愛話かもしれません。顔を突き合わせて語りづらいコロナ禍で、誰かに聞いてもらいたい心の悩みを語り合うこの企画。

 今回も、恋愛指南本も多数執筆されている文筆家でAV監督の二村ヒトシさんに、読者から寄せられた相談をたっぷりと聞いていただきました。10年以上彼氏がいないという30代独身女性の本音をお届けします。

*今回のゲスト*
山口春美さん(仮名)

 東京都在住の34歳。清涼飲料水製造メーカーでマーケティングを担当。最後に彼氏がいたのは12年前。それ以降は短期間の恋愛を繰り返し、結婚したいと思えるような相手とは出会えずに現在に至る。

(春美さんが1か月で浮気されてフラれたという、10歳以上年下の男子との“火遊び”から始まった恋については#3で語っていただきました→【二村ヒトシの恋愛相談#3】10歳以上年下にハマった30代独身女性につきつけられた「猛アタックする男」に共通する“習性”

◇  ◇  ◇

「元カレを超える人がいない」は自分が作り出してしまった“信念”

──12年前につきあった彼氏はどんなタイプでしたか?

春美「イケメンとまではいかないものの、見た目がよくて、男友達からも人望があって。普通に働いてて仕事にもまじめだったし、浮気もしそうにないタイプでした。私のことをすごく大事にしてくれていたし、“いつか結婚しようね”っていう雰囲気だったけれど、こっちも若かったから“もっと他にいい人がいるかも……”って、私が心変わりしてしまったんです」

二村「それで春美さんが浮気しちゃった? 」

春美「いえ。そのとき気になっちゃった他の男性とは、結局何もなかったんですけど。その気持ちを彼に知られて“だったら別れよう”って言われました。でも心のどこかで、別れてもいつかヨリを戻せると思っていたんです。そしたら何年後かに別の人と結婚したっていう話を聞いてしまって……。そこで大泣きを経験して、“人生が終わった”って思いましたね。今は人生が第2ラウンドみたいな感じで、非現実的な恋を繰り返してしまうんです。そんなに悲観してはいないんですけれど」

二村「春美さんは、まあ、ポジティブっちゃポジティブだからいいですよね」

春美「でもライトな恋愛をしているときはいいけれど、いざ結婚のことを考えると、この先ちゃんとした人と出会えるのかなって不安になります」

二村「とはいえ、結婚はしなきゃいけない、と焦ってもいないですよね」

春美「このままひとりでもいいかなって思ったりもしますね」

二村「春美さんに未だに影響を及ぼしていると思うんで、つらかった12年前の恋愛に心の中でちゃんとケリをつけておいたほうがいいんじゃないですか」

春美「思い出は更新したいんですけど、その元カレほどの男性って、この年齢になると現れないんですよ」

二村「そんなに好きだった相手に、どうして別の人が気になってるってバレちゃったの? 」

春美「心境の変化はちゃんと報告しなきゃって思って、自分から言っちゃったんです。“ほかに気になる人ができちゃったかも”って」

──恋愛でいう”駆け引き”をしてみたいって、魔がさしたのかもしれないですね。

二村「正直すぎるでしょって言うべきか、そんな試し行動をしてもロクなことにならないですよって言うべきか……。それ、先ほどお話しいただいた10歳以上年下の彼が春美さんに対してやったことと、同じと言えば同じですね」

春美「あっ……」

二村「それで別れることになって、当時、後悔しましたか? 」

春美「後悔もしたけど、あのまま彼と結婚していたら、安定するけど刺激の少ない人生を歩んでいたかと思うと、それはそれでちょっと違ったなって感じてもいるんですよ」

二村「結局どっちが正解だったかなんて死ぬまでわからないものなんですけど、感情は宙ぶらりんていうか、左右に引き裂かれていますよね。春美さんの中で、結婚相手としてその元カレを超える男はいないって思い込んでいるのは、それはある種の“信念”でしょ? 信念ってその人の行動原理の元なんだけど、客観的に見ると、こう言っちゃなんだけど必要ない信念、むしろ本人を不幸にする信念にとらわれて苦しんでる人もいる

春美「そうなんですよ! だから、信念にとらわれず、いつかまた誰かとガッツリつきあってみなきゃいけないって思っているんです」

二村「それもまた春美さんのもうひとつの信念なのか、それとも春美さんの欲望なのか。つきあわなきゃ“いけない”って言葉になるところが信念くさいですけど……。人間関係なんて本当に絶対なことなんてなくて、それぞれの人の信念や考えかたの癖(くせ)がぶつかったり融和したりしてるだけです。どんなことでも“絶対に”って言いだしたら、それはただの信念でしょ。信念を抱いてしまうことには必ずその人なりの理由があるので、“なぜ私はそう思い込んでいるんだろう”って自分自身を研究すると、楽しいですよ

春美「でも、特にトラウマになるような思い出とかはないんですよね」

二村「親から虐待された経験が原因で“私は〇〇をしないと誰からも愛されない”みたいな強固でつらい信念を持たされてしまう人もいる。そういう“間違った信念”は、時間をかけて友人や医療の力を借りてリセットしていったほうがいい。春美さんの場合はそこまでじゃないけど、12年前の恋愛がきっかけで持ってしまった信念を、書き換えるために恋愛をしてるようにも思うんですけど……」

春美「そうですよね。元カレを超える人はいないと思いつつも、元カレとあのまま結婚していたよりも今のほうが、人間的には成長しているはずとも感じますし」

二村「たしかに最初の元カレさんとうまくいっていたら、人生が物足りなかったかもしれませんね。いまの春美さんは、女慣れしていて、どこか寂しさを感じさせる男に惹かれやすい。男のほうが“心の穴”が深くて、それを埋めてあげたいって女性に思わせるタイプの。今回の若い彼が典型だけど、まあ彼らはあまり結婚には向いてないですよね。春美さんが、気持ちを振り回されてご飯が食べられなくなったりすることまで含めて恋愛の醍醐味だと思ってエンジョイできるなら、彼らはそれには適した相手なんですけど。

 もしかしたら無意識のうちに、恋愛ゲームで自分が傷つくことで、過去の大切な彼を傷つけちゃった自分を罰してるってことなのかな。あるいは逆に、ゲームの相手を真剣にさせて春美さんのほうを向かせることができれば12年前を乗り越えられるって感じてるのか。そっちはなかなか難しいと思いますけど……。どっちにせよ、過去にとらわれてるんじゃないでしょうか」

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