サブスクリプションと呼ばれる楽曲の聴き放題サービスの普及や、スマートフォン、ワイヤレスイヤフォンというデバイスの進化のおかげで、私たちはこれまで以上に日常的に音楽に触れる機会が増えてきました。
そこで、ミュージシャンや俳優、タレント……いろいろな有名人の方々に、最近よく聴いているプレイリストの中身を教えてもらいました。気になるあの人のプレイリストは、どんな曲なのでしょうか。
第4回は今年結成30周年のメモリアルイヤーとなるソウル・フラワー・ユニオン(以下、ソウル・フラワー)のキーボード奏者である奥野真哉さんです!
【奥野真哉のプレイリスト】
8000枚あったレコードを売却。今は買い戻している最中
──普段、どのようなデバイスで音楽を聴いていますか?
「もともとはレコードで聴いていたんやけど、場所を取るので10年くらい前に全部売っちゃったんですよ」
──ちなみに、何枚くらい所有されていましたか?
「8000枚くらい。それを今、買い戻してるんやけどね。なにやってんねんって感じやけど。最近、レコードブームで高くなっちゃって非常に困ってます」
──レコードを買い戻している理由は?
「5年くらい前に、レコードプレーヤーでレコードを聴く機会があった。そうしたら、めちゃくちゃ音がよくって。音楽ってこれやんな! って改めて再認識したりして、初めてレコードを聴いたときの感覚を忘れていたな……もう一度、音楽のふくよかさに触れた……って思い返しましたね」
──今は、音楽はレコードで聴く感じですか?
「以前はデジタルで聴いていたけど、もう媒体がほぼレコードに変わっちゃった感じですね。めっちゃ(レコードに)金を使っているね(笑)。オリジナル・ラブの田島(貴男)から、音響まわりの機材を事細かに教えてもらったので、俺も同じものを買おうかなって思って、アンプを見たら300万円で、“それは無理やな”って思った」
──そこまで、機材で音が変わるのですか?
「キース・リチャーズ(ザ・ローリング・ストーンズのギター)が言っていたけれど、いろんな媒体の中でレコードの音がいちばん生演奏に近いらしいんですよ。今までスマホやパソコンとか簡単に聴きすぎたから、レコードの音を聴いたら改めて音楽のよさに気づく人が多いんじゃないかなって思います」
──アナログならではの楽しみ方はありますか?
「アナログマニアって、好きなアルバムがあったとしたらUS盤、UK盤、ドイツ盤ってプレス違いを買うんです。“同じレコード何枚もいらんやん”って思っていたけれど、今は買っていますね(笑)。プレスによって全然音が違うから、自分の好きなアルバムはいちばんいい音のものが欲しいって思うんですよ」
──奥野さんのような耳が研ぎ澄まされたミュージシャンじゃなくても、その違いはわかりますか?
「わかります! 全然違うと思います。例えばビートルズの場合はシングル盤を聴くと、もうラウドロックです。この音を聴いて当時の若者が熱狂したのはわかるな~って思う。昔は、モノラルレコード用の針があって、モノラルレコードをその針で聴くと、本当、昇天するような音がします(笑)」