昨日のコトバスでは「慈雨(じう)」という言葉を紹介しましたが、雨に似合う花といえば紫陽花(あじさい)。都内の紫陽花も次々に花を咲かせ、見ごろを迎えています。
紫陽花といえば、土壌が酸性であれば青い花を、アルカリ性であれば赤い花を付けることが知られています。時期によって花の色が移り変わる様子から「七変化」という別名を持ち、花言葉は「移り気」「無常」「浮気」なんだそうです。
明治期の俳人、歌人である正岡子規も紫陽花を詠んだ句をいくつか残しています。その中で私が気になったのが《紫陽花や きのうの誠 けふの嘘》。「(紫陽花のように)昨日は本当だといったことが、今日には嘘になってしまう」という意味であり、人の心のうつろいやすさを詠んでいます。
昔は常識だった考えが非常識になったり、他人だけではなく自分の考えですら時間が経てば変わってしまう。そんな諸行無常を感じる毎日ですが、悪いことだけではなくいいことも多いように思います。紫陽花の花のようにその変化を楽しんだり、考え方を柔軟に変えていく力を持っていたいなと思います。(知)