一般視聴者である挑戦者が、番組名のとおりアメリカ大陸を横断しながらクイズをやり、残った2人がニューヨークで決勝を行うという、日本テレビのかつての人気番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』(以下、ウルトラクイズ)。
今回は、第10回ウルトラクイズで決勝まで行かせていただいた私の体験から、ウルトラクイズ裏話の第3弾。前回の、本番収録に関する話の続きです(記事:「会場付近で3時間待機」「本番前はずっと目隠し」、『アメリカ横断ウルトラクイズ』準優勝者が明かす収録の“謎”)。
本番ではいっさいカメラを止めない
ウルトラクイズの本番では、一度スタートがかかると、基本的にカメラが止まることはありません。
クイズが終わって敗者が決まり、その敗者に司会の福留功男さんがインタビューを終えるまで、ずっと複数のカメラマンによる撮影が続くのです。
出演者は素人ばかり。スタジオではなく、ほとんどが屋外で、しかも初めての場所での撮影。解答席に座って行われるクイズだけでなく、チャレンジャーが動き回るパターンも数知れず。
それでも、ぶっつけ本番ノーカット撮影のワンショットワンショットが、ものの見事に「絵」になっていたのは、ひとえにスゴ腕のカメラマンをそろえていたからです。
これはスタッフに伺った話ですが、ウルトラクイズの旅に同行しているカメラマンたちは、全員がプロ中のプロ。ものすごい高給取りのフリーカメラマンたちなのだとか。
そう思って、ウルトラクイズの映像を見直すと、確かにチャレンジャーたちの変わりゆく表情を逃さず、決定的瞬間を余すところなくとらえているのがよくわかります。
なぜ、一度もカメラを止めないのか? 最大の理由は、カメラが止まってしまうことで、チャレンジャーたちの緊張感が途切れてしまうのを避けるためです。
そのことについて、あるカメラマンが、こんなことをおっしゃっていました。
「クイズに負けた瞬間の敗者の悔しげな表情。その次にくる“終わったんだ”という、すがすがしい顔。そういう感情の流れをすべて映像に収めるのが、ウルトラクイズのカメラマンの仕事のひとつ」
さらに、あるスタッフの言葉です。
「クイズで敗退が決まったあと、福留さんは敗者の気持ちが落ちつくまで声をかけないようにしている。なぜかというと、人間ドキュメンタリーの最高の場面だから」
福留さんは何度も「ウルトラクイズは敗者が主役」と言っていましたが、その言葉はダテではなかったのですね。