『らんまん』第24週、万太郎(神木隆之介)は大富豪の永守(中川大志)からの申し出を断った。「図鑑に必要なら出版社を、標本に必要なら博物館を」建てるという、とてつもなくラッキーな申し出に対し、「図鑑の準備をして待っている」と答えたのだ。陸軍に行くという永守の死への覚悟のようなものを聞いたからで、「待つ」はつまり「死ぬな」だろう。もったいないが、立派な万太郎。永守が無事帰還すれば実現するのか? という話は置いておき、万太郎の立派さが他の場面でも描かれていた。
キーパーソンは、南方熊楠。「新種発見」との触れ込みで、万太郎に植物標本を送ってきたことで接点ができる。その後、木を切りまくる神社合祀令に南方が怒りまくっていると情報が入る。幼い日、森で天狗(という名の坂本龍馬、という名のディーン・フジオカ)に出会った万太郎だ。心を痛めるが、東大の助手という立場もある。葛藤もしたが、結局は東大を離れるという決断をする。それを聞いた竹雄(志尊淳)は万太郎に、「いくつになっても、子どもっぽうて」と言っていた。が、竹雄だってわかっているはずだ。万太郎、台湾への植物調査あたりから、「植物と国」の関係にどんどん自覚的になっている。もう、植物が好きなだけの男ではない。
白髪が見え隠れする男の成長だ。遅いと見るか、人間の可能性を見るべきか。はっきりしているのは、私は「万太郎以外」に心が動く視聴者になってしまったということだ。だから今回も、野宮(亀田佳明)と波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)に注目だい!