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あたらしい

楽しみながらイノベーションを起こす「うろうろアリ」な生き方と働き方が、組織や社会を変える

SNSでの感想
横井昭裕さん、唐川靖弘さん 撮影/岡利恵子
目次
  • 仕事、私事、志事……3つの「しごと」
  • アリのように一歩ずつ変わっていくこと

 1996年に発売され世界中でブームを巻き起こした「たまごっち」の生みの親で株式会社ワイプラス代表取締役社長の横井昭裕さんと、イノベーションをもたらす最強人材「うろうろアリ」という生き方・働き方を提唱するエッジブリッヂ代表の唐川靖弘さん。

 おふたりに、会社の中でも仕事が楽しくなるヒント、新しいことを生み出すために必要な要素やチャレンジする際の心構えについて伺いました。(記事の前編はこちら

◇   ◇   ◇

──今は、クリエイティブな発想やイノベーションを生む人がますます求められる時代ですよね。

唐川 もちろん会社の中では、普段から決まっている自分の役割や肩書きに合った仕事を間違いなく遂行することも重要ですが、プラスアルファで、これまで誰も見たことがない、経験したことがないことをやろうとするときは、手探りで一歩一歩進んでいくしかない。その過程で失敗もしますけど、失敗は痛い経験であると同時に学びがある。このへんまではやっても大丈夫なんだという手ごたえを得るためにすごく大事な学習の機会だと思います。

 そういう意味で、うろうろすることで自分ならではの存在感を作ったり、チームや組織、会社に新しい価値を作る人は、これから非常に求められると思います。

横井 私がつくづく思うのは、商品企画は人を知ること。たまごっちもアイデアだけでは商品化できなかったでしょう。いちばん重要だったのは、バンダイの社内を説得すること。企画を実現するために、どの部署の誰に持っていったら企画に乗ってもらえるか、どういう言い方をすれば営業に協力してもらえるか、考える必要があった。担当者がどんな人か知らないと、的確なプレゼンができないわけです。さらには、ターゲットである女子高校生を知らなきゃ、彼女たちに受けるような変なキャラクターは生まれなかった。だからモノづくりは、ターゲットを知らないとできないし、企画に携わる人を説得しないと、実際は市場に並ばないわけです。

 多くの場合、アイデアだけあっても、それで終わってしまう。「アイデアはいっぱいあるんだけど、みんなが認めてくれない」と、ただ不満を言っていても、商品が売り場に並ぶわけがないんです。ですから、コミュニケーション能力は本当に大事だと思っています。

唐川 人を知るという意味では、自分の環境の周りを知ることも必要だと思います。別の角度から言うと、環境のせいにしない。世の中には、特に新しいことをやろうとすればするほど、うまくいかないことがたくさんありますよね。そうすると、その理由を世の中や会社といった外に向けがちで、楽なんですが、それをやってしまうと結局、自分がいつも環境に支配されているとか、環境が整わないと何もできないと思うことになってしまいます。

 でも、そんなパーフェクトな環境など存在しないので、いつも主体は自分で、自分が変われば身のまわりが変わるという意識を持つことが大事です。自分がアクションを起こして情報さえ集まれば、今まで説得できなかった上司も変わっていくのではないでしょうか。

横井 最近、ある企画書を部下に持って行かせたときに「企画は通りませんでした」と帰ってきたので、なぜ企画が通らなかったのか聞くと「わかりません」と答えたんです。それでは、企画は絶対に通りません。企画が通らない原因はまず、その企画がつまらない。または、企画は面白いが持っていった相手が悪い。あるいは、持っていった相手はいいけれど、その上司が反対している。いろいろ考えられます。

 企画が悪いなら練り直す。行くタイミングが悪いならタイミングを変えて行く。もし上司が反対しているんだったら私が行く。その原因を追求しないといけないんです。

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