快適で安全な新幹線の旅を提供するために
──新幹線パーサーとして一番のやりがいは?
(小牧さん)
「ビジネスや旅行など、さまざまなお客様と接する機会が多いですが、その中で“一期一会”という言葉を私は大切にしていて、わずかな移動時間でも、お客様が快適に過ごしていただける時間を提供する。そのお手伝いをさせていただくことが私たちの仕事だと思っています」
(加藤さん)
「新幹線パーサーは本当に多くの人と接することができる職業だと思っていまして、お客様が何を求めているのかを考えながら、お客様の気持ちに寄り添っていこうといつも臨んでいます。“ありがとう”の言葉をいただくと、すごくやりがいを感じますね」
(井上さん)
「私は販売に関するやりがいになるのですが、毎年、販売目標がある中で、自分が乗った列車の販売のナンバーワンを目指すようにしていまして、それが達成できた時、とてもやりがいを感じます」
──さまざまなトラブルにも対応されていますね。
(小牧さん)
「列車が数分でも遅れると、“振り替えができるのかな……”と不安に感じるお客様もいます。そういうお客様には安心していただけるご案内ができたらいいなと常に考えています。
昨年9月の台風の時に18時間、車内にいたことがありました。他のクルーや車掌とも連携しながら、お客様に水や食料をお配りし、車内で不安に感じている人がいないか、繰り返し巡回しましたね」
──トラブルに対応するために普段からやっている研修はありますか?
(小牧さん)
「ワゴン販売の研修室で実際にワゴンを動かしながら、パーサーをお客様に見立てて、接し方や商品の提供の仕方などの訓練を行っています。そのほか月に2回、緊急対応などの訓練があり、実際に車内であったことを皆で共有し、知識の確認を行っています。
具体的には、“火災がありました。みなさんはどう動いていくべきでしょう?”とか、販売でも“こういうお客様がいらっしゃいました。どのように提供していくのがいいでしょうか? このように、ご案内していきましょう”などとパーサー一人ひとりに考えてもらう、より実践的な訓練をしています。
実際に、お客様のスカートがドアに挟まってしまった事案があったのですが、その2か月前ぐらいの訓練でやっていた想定事案でしたので、すぐにお客様を救出することができました」
(加藤さん)
「本当に多くのお客様がご乗車されているので、急病のお客様もいらっしゃいます。私もマネージャーとして乗務しているので、後輩や車掌にいつでも冷静かつ的確な指示が出せるようにイメージトレーニングしながら、日々乗務しています。
パーサーズステートメントという、パーサーの心得をまとめたものがありまして、そこには『安全は当たり前にあるものではなく、作り出すものです』という言葉があって、それを心に刻みながらいつも乗務しています」
(井上さん)
「販売に関しての安全管理でも、商品管理という意味で、例えばホットコーヒーに関しては、私たちが先にテイスティングしてからお客様に提供しています」
──お客様から次々に商品を求める声がかかった時にはどのように対応していますか?
(井上さん)
「先にお声がけしていただいた方から対応させていただいています。他のお客様が購入したコーヒーの匂いを嗅いだお客様が、私もいただきたいと声がけしてくださることもありますので、お客様のニーズに合った商品もあわせてお薦めしています」
──お客様から意見をもらうこともあるのでしょうか?
(加藤さん)
「はい。販売時に接客対応についてのご意見もいただくこともあります。お客様の意見に寄り添って対応することを心掛けていますが、ただ安全第一ですので、やはり何か異常事態があった時には申し訳ないですが、そちらを優先させていただいて、それが終わり次第おうかがいいたします」