東海道新幹線はすてきだなと思ってもらいたい

──みなさんの「スイッチが入る瞬間」を教えてください。

(小牧さん)
「更衣室のロッカーに姿見の鏡がありまして、鏡の前でスカーフを巻いた時が仕事のスイッチが入る時ですね。“今日もお仕事、頑張ろう”と、その時に心の中で気合を入れています」

(加藤さん)
腕時計を身につけると、スイッチが入ります。普段は腕時計を身につけないのですが、パーサーの仕事は時間管理がとても大切なので、仕事前には腕時計をつけて、必ず秒数も正確に合わせて乗務に臨んでいます

(井上さん)
いろいろと動きますので、おなかも空きますし、それこそよく食べ、よく眠るというのがスイッチが入る時でしょうか。

 スカーフを巻く時に鏡を見るのですが、今は常時マスクをつけているので、マスク姿でも、しっかりわかるような笑顔をお届けできるようにしたいので、鏡の前で1回笑って、笑顔をつくってから乗務するようにしています。

 ちなみにスカーフもいろいろな巻き方がありまして、中にはネクタイ巻きという巻き方もあります」

この日の3人の巻き方も三者三様 撮影/伊藤和幸

──今後の目標を教えてください。

(小牧さん)
海外からのお客様も戻りつつありますけれども、やっぱり東海道新幹線はすてきだなと思ってもらいたい。私たちの仕事で言うと、ここ3年の間に入社したパーサーたちは、海外のお客様と接する機会が少なくなっています。だからこそ、自分の語学力の向上もはかりながら、しっかり後輩たちのフォローをしてあげたいと思います。そして一緒に新幹線の魅力も世界中に伝えていけたらいいなと考えています」

(加藤さん)
「お客様のすてきな思い出づくりのお手伝いができるように、これからもお客様の気持ちに寄り添うパーサーを目指して参ります。お客様に、また新幹線に乗りたいと思っていただけるように、今までの経験を生かして、日々の業務に全力を尽くして臨んで、お客様の希望に応えながら、さらに成長していきたいと考えております

(井上さん)
「日本が誇る東海道新幹線で、お客様のためのお手伝いをさせていただいておりますので、そのわずかな時間を快適に過ごしていただくことと、お客様を第一に常に質の良いサービスを提供しようと乗務に臨んでいます。何より、お客様が“井上さんに会えてよかった”と思ってもらえるよう、日々心掛けています

新幹線を下車した取材陣に笑顔で 撮影/伊藤和幸

(取材・文/羽富宏文)

〈執筆者プロフィール〉
1974年生まれ。主にノンフィクションの現場で取材を重ねてきたフリーの編集者・テレビディレクター。インタビュー記事で心掛けているのは「その人のファンを増やすこと」。